子どもたちの新鮮なアイデアに学ぶ治水

故郷の災害の歴史を調べ子供たちに成果を伝える出前授業は、「足柄の歴史再発見クラブ」のメインの取り組みの一つです。

今年度も先月から町内2つの小学校で学校での学習と現地学習それぞれ1回、計4回の出前授業を行いました。

昨日、開成南小学校の多目的ホールで最終の学習会がありました。普段の授業とは異なるやり方で進められました。

2週間前に河川の治水の現場を直接見学する授業を受けたことを踏まえて子供たちが自ら問題点を探って発表会をしました。

3クラスありそれぞれが順番に何チームかに分かれて発表し終わったら聞く側に回り理解を深めるやり方です。

子供たちの自主性を重んじ意欲を喚起するやり方です。能動的学習=アクティブラーニングの手法です。

足柄の歴史再発見クラブのメンバーも11人が参加してそれぞれのグループの発表を見て回りました。

開成南小学校の4年生の現地学習は、歩いて10数分のところを流れる急流河川酒匂川の治水についてでした。

際立った特色のある場所です。堤防が二重堤防となっていて人工的に土手が切れているのです。

「かすみ堤」と呼ばれて開口部から洪水の時は水が逆流して一時的遊水地となることで治水力を高めているのです。

江戸時代に盛んに取り入れられて治水方法で完ぺきに洪水を防ぐことができないことを前提にした技術です。

明治以降近代的安治水技術が取り入れられてかすみ堤は次々と壊されましたが酒匂川水系には3か所残ってます。

子供たちはいわば前時代の治水技術を学びなぜ今も現役の治水技術として残されているかを調査しました。

かすみ堤の一帯には治水碑や水神、防災倉庫を兼ねた見学施設などが集中している地域です。

この辺り一帯がいかに洪水の常襲地帯であったかが実感としてわかります。こうした体験が新鮮な発想を喚起します。

かつてあったお堂はなくなっていて普段は草ぼうぼうの小さな土手の広場となってしまってます。

子供たちもこのままではいけないと痛感しました。水神の日を設けてお祭りをしたらどうかという提案がありました。

人が集まる工夫をすべきだとの意見は多かったです。治水のポイントをめぐるスタンプラリーはどうかとの提案もありました。

水防倉庫を兼ねた見学施設はもっと学びやすいように音声ガイドがあったほうが良いのではないかとの提案もありました。

かすみ堤の強じん化についての本格的提案があり驚きました。遊水地となる個所を掘削して保水力を上げようというのです。

その浚渫した土は土手のかさ上げに用い、土留めには景観に配慮してレンガを活用したらどうかという提案でした。

かすみ堤強化のための本格的土木工事のアイデアです。大いに検討の余地があると思いました。

子供たちの提案をこのままで終わらせてはいけません。町役場、河川管理者の県に提案しようということになりました。

今年度の出前授業の応援はまだまだ続きそうです。子供たちの提案を行政側はぜひ真剣に受け止めて欲しいです。