素顔の北朝鮮

今年の目標のひとつに北朝鮮訪問がありました。残念ながらその目標は実現できませんでした。

北朝鮮と交流を続けている全国地方議員団訪朝団の一員に加えてもらい5月の連休中の訪朝を目指しました。

ところが北朝鮮をめぐる国際情勢が激変し5月に南北首脳会談、続いて6月には史上初の米朝首脳会談が行われました。

北朝鮮の外交当局は、全精力を一連の外交日程に注ぐため、日本の地方議員団を受け入れる余裕がなくなりました。

結果として北朝鮮側より断念が伝えられ、全国地方議員団訪朝は、仕切り直しとなりました。

 (写真;産経ニュース電子版2014.12.8)

私は、1990年9月当時の自民党の最高実力者の金丸信元副総理の訪朝にNHK記者として同行取材しました。

その時に見た北朝鮮の首都平壌市内はとても清潔な都市でした。ただ、夜間は、照明が乏しく暗かったです。

電力不足だと言われてました。金丸氏と金日成主席との会談は妙香山という郊外の迎賓館で行われました。

同行記者団は突如夜間に夜行列車で一晩かけて会談場所に移動させられました。夜のため車窓の景色は見えませんでした。

食事は全てホテル内で食べ、接するのは北朝鮮当局の役人ばかりでした。普通の市民生活は見れませんでした。

唯一垣間見えたのは、壮麗なマスゲームの鑑賞に出かけた際に暗い路地で練習している子供たちの姿でした。

ですので北朝鮮国民の普段の生活の様子を知りたいと思ってました。地方議員団の訪朝への同行を希望した理由です。

先日10数回北朝鮮を訪問している国際手話通訳をしている女性からじっくりと話を聴く機会がありました。

国際手話通訳の女性は、自分自身もろうあ者でろう学校で学び日本の大学から韓国の大学に2007年留学しました。

2011年に世界ろう連盟のと北朝鮮の障がい者保護団体による交流会で初めて北朝鮮を訪問しました

そこから北朝鮮のろうあ者への支援活動を始め今日に至ってます。最初は全く意図していなかったということです。

ろうあ者への支援を始め北朝鮮の障がい者対応は遅れていて日本の植民地時代の制度の名残りもあるということでした。

最近は大きく改善されて障がい者が独自にビザを取得して海外に出かけることも可能となりました。

2016年のリオデジャネイロ・パラリンピックに北朝鮮として初の参加者がでました。競技はマラソンです。

2020年の東京パラリンピックにはもっと大勢の選手団が参加する予定で準備を進めているということです。

女性の話を伺っていて意外に思ったのは日本に対する庶民の感情は悪くないということでした。

特に日本の工業製品に対する信頼感は高くパナソニック、ソニー、日立とか日本のブランドをよく知っているということです。

北朝鮮の普通の市民と平らな目線で付き合っているからこそ知ることができる貴重な情報です。

市民レベルの訪問団の交流が分厚くなれば北朝鮮にたいする見方も変わりそうな気さえしてきました。

オリンピックもひとつの契機となる可能性があります。市民レベルの交流の場を用意できるかどうかだと思います。