私の2018年その2 龍となった中国と向き合う。
今年も中国訪問の機会がありました。3月と10月の2回です。訪問のたびに経済発展の勢いをまざまざと感じます。
3月は、神奈川県山北町に本社を置く旭東ダイカストグループの山森一男会長の好意により訪問が実現しました。
山森会長はまだ日本の企業が中国にさほど着目していなかった1980年代に中国進出を決めました。
進出先は、中国浙江省寧波(ニンポー)市の郊外にある寧海(ネイハイ)県です。自動車関連の部品を造り成功を収めています。
山森会長は、製造業から業種を広げ福祉などの健康産業に関心を深め新たな拠点を設けました。
スローガンは「健幸」です。中国も今後急速に少子高齢化が進みます。福祉分野の産業が不可欠と見てのことです。
地元の行政に桜の木を4000本寄付したことをきっかけに地元で公園を造り3月に開演式典がありました。
この式典への参加を兼ねて山森会長が立ち上げた新拠点のお披露目がありました。チームとして参加を要請されました。
高齢者へのデイサービス事業のデモンストレーションを行うためです。お花、書道などのミニ講座を実施しました。
私は開成町のまちづくりを話す講演の機会を与えてもらいました。開発一辺倒ではなく景観を守ることの大切さを訴えました。
10月は、国際二宮尊徳思想学会の第8回大会のため山東省曲阜(きょくふ)を訪問しました。
曲阜は、『論語』で知られる孔子の生まれ故郷です。中国の国家宗教であった儒教の創設者でもあります。
二宮尊徳の考え方は、経済活動を盛んにする一方で儲け一辺倒ではなく社会への貢献を考える経済と道徳は一体というものです。
二宮尊徳の考え方は経済的躍進著しい中国にとって重要だという視点から国際学会が2003年に立ち上がりました。
中国における二宮思想の重要性はますます高まっていると思いました。貧困からの脱却に関しても二宮思想が注目されてました。
貧困から抜け出すためには本人の自覚が大前提です。二宮尊徳が唱えた「心田開発」に中国の研究者が関心を寄せてました。
2018年は、中国が経済発展へと国家方針の舵を切った「改革開放路線」から40年の節目の年です。
この間に中国の経済規模は250倍に伸びて日本を圧倒するようになりました。その一方でひずみも出ています。
人口爆発を抑えるため一人っ子政策をとったことによる急速な少子高齢化が中国の先行きに暗い影を投げかけてます。
経済成長と経済格差の拡大は裏表の関係です。格差の拡大は社会を不安定にさせることは言うまでもありません。
こうした不安定要素はあるものの中国は強大な大国へと変ぼうしを遂げました。この事実を直視しなければなりません。
日本が先進で中国は遅れているという思い込みは完全に捨てることがまず必要だと強く感じました。
経済躍進は中国人の自信へとつながり習近平主席は偉大なる中国の復活路線を歩んでいるわけです。
日本は強大な龍となった中国と向き合う時代に突入しました。覚悟して進路を決めることが問われています。