世界で日本でしか残っていない元号の意義を考える。

今年4月30日、平成天皇が退位されて5月1日に皇太子が直ちに即位、新しい平成に代わる新しい元号の時代に入ります。

国民の象徴である天皇とともに元号が変わるということは国民の気分も一新させることにつながります。

この一事をもってしても元号と日本国民は深く結びついています。私は元号の持つ意味を高く評価します。

平成最後の年だということで元号を深く知りたいと『日本年号史大辞典』を購入しました。

考古学や歴史の専門書店である雄山閣が出版されていて普及版で9200円します。奮発しました。

編集代表者の京都産業大学名誉教授の所功さんを尊敬して止まないという右翼活動家から是非と勧められました。

中国古代の間の時代に端を発した元号が日本に導入された歴史やその後の展開に至るまで詳しく解説されてます。

645年の最初の元号である「大化」から247番目の「平成」まで成立の経緯や元号の意味が記されてます。

明治になって「一世一元」に統一されたのはなぜかについての解説もなされていて、精読すれば元号の専門家となれそうです。

先週の神奈川新聞に元号の使用の意義、使用の是非について3人の学者にインタビューした記事に目が留まりました。

東大大学院教授の小島毅さんが登場してました。小島さんが書いた光文社新書の『天皇と儒教思想』を読んだばかりでした。

この中で小島さんは、中国古代の漢の時代に端を発する元号が残っているのは日本だけである意義を強調してます。

「元号は、東アジアが共有していた伝統であり、わが国でだけつづく貴重な威風、文化遺産なのだ。」

天皇家が連綿として継続している日本独特の歴史と元号の存続は密接不可分であることを伺わせています。

神奈川新聞の登場した学者の中には「西暦を使うほうが便利」との意見もありましたがそういう問題ではないと思います。

もはや日本という国と国民とは何であるかを示す貴重な資源であって横文字で言えばアイデンティティーであると思います。

西暦の方が便利だからという利便性から考えるのは表面的です。元号は、便利さを超越する意義を持っています。

しかも、西暦と十分に共存共栄しています。それどころかひとつの時代を区切り見つめ直す時代区分となってます。

西暦がグローバルスタンダードだとすれば元号は、日本国民の生活に深く根差した文化だといっても良いと思います。

グローバルな時代だからこそ大切に守っていき、その意義を更に高めていくことが必要ではないでしょうか。

日本独特の歴史観を育むことにつながり、その時代区分の視点から歴史を見ることで新たな発見もあるはずです。

今の時代、必要なことは、ひとりひとりも、会社も地方自治体も国も30年間を見つめ直すことです。

何が達成されて、何が達成されていないのか、何が次の時代の課題かを総括すべきだと思います。

その結果を30年に満たない人生を送っている若者たちに積極的に伝えることが次の時代を創造する土台となります。