国民民主党の玉木雄一郎代表の最後の賭け

国民民主党が存立の危機に直面しているのことは誰の目にも明らかです。支持率1パーセントはきついです。

その一方で全国各地の連合を背景に組織力はあります。解党した民進党から引き継いだ100億の資金があります。

選挙で、なくてはならない組織と資金はあるものの肝心かなめの支持がないというバランスが悪すぎる状態です。

3本の矢のうちの1本が消えかかっているということは、残り2本の2人3脚でやるしかありません。

しかし、労組の組織力や選挙における影響力は弱まっています。資金だって使えばなくなります。袋小路です。

玉木雄一郎代表が自ら放ったのか、打診に乗ったのかは不明ですが、最後に選択したのは、小沢一郎さんと手を結ぶことでした。

ふたつのことが思い浮かびました。ひとつは平成時政治史を激動にさせた張本人というか立役者はまだ健在だということです。

小沢一郎さんが平成の政治を剛腕で揺さぶり続けた政治家であることは誰も異論はないでしょう。

1993年8月の細川連立政権、2009年9月鳩山民主党政権、いずれも小沢一郎さんが作りました。

しかし、両政権とも目指した改革は尻切れトンボに終わり、その後自民党中心の政権へと反転しました。

組織とカネの選挙に強く最強のデストロイヤー=破壊者であって、守って持続させる政治手腕には疑問符がつきます。

今回、玉木代表が、小沢さんと手を組む決断をしたのは、前者の強みを生かす時期だと決心したからでしょう。

細川連立政権の時も鳩山民主党政権の時も労働組合という組織をがっちりと手中に収めていました。

選挙での金の使い方はお手のものでしょう。玉木さんにとってはウィン・ウィンの関係を作れると踏んだと思います。

私は、今回の玉木さんの賭け、結果はともあれ、勇気ある選択だと思います。現状では、らちが明かないからです。

積極果敢に行動することで局面転換を図ることはリーダーとしてとるべき行動だと私は思います。

小沢さんが好きだ嫌いだといっている余裕はなく、やってみるという決断をしたことは大いに評価します。

危険性が伴うことは覚悟の上でしょう。決めたからには断じて行うという不動心を保てるかが課題だと思います。

政治学の名著、マックス・ウェーバーの『職業としての政治』に政治について「悪魔の力と関係を結ぶ」と書かれています。

小沢さんを悪魔に見立てては申し訳ありませんが、小沢さんが悪魔的な腕力の持ち主であることは平成の政治史が示しています。

玉木さんが平成が終わろうとするこの時に平成を代表する悪魔的腕力の持ち主と手を結ぶことはいかなる意味を持つのでしょうか。

悪魔の力を借りてでもなさねばならぬことがあるということでなければ筋が通りませんし国民の納得は得られません。

それは、細川、鳩山両政権に続き自民党に代わる3度目の政権を樹立すること以外にはありえません。

戦って勝つことが求められます。まずは、今年の統一地方選挙と参議院選挙、勝たなければ結果責任が問われます。