神奈川県南足柄市”道の駅構想”の再考を!

国土交通省の看板政策のひとつとして全国で展開中の「道の駅」の重点候補として南足柄市の「道の駅」構想が選ばれました。

昨年4月時点で道の駅の数は、1145か所です。毎年10数か所をモデル的な道の駅として選んでいます。

通常ならば大変に喜ばしいと、もろ手を挙げて賛成するところですが、この件については、大いに異議ありです。

本来やらなければならない重要課題を先送りして、進めやすそうなところをつまみ食いしているように見えてならないからです。

仮称で「金太郎のふるさと」と名付けられた道の駅の候補地は、土地区画整理事業と呼ばれる計画的開発区域の一角にあります。

道の駅は、開成町と隣接地といっても良いほど開成町と近接していて東西南北の道路の交差点近くに建設予定です。

計画的開発区域は、足柄産業集積ビレッジ構想と名前が付けられた開発のため区域として設定されました。

148.3ヘクタールに及ぶ広大な地域です。「産業集積」という名称からわかるように企業誘致が最大課題です。

2006年、富士フイルムの先進研究所が開成町で操業を始めたことを受けて、更に企業誘致を前進させようとしたのです。

優良な企業を誘致するための土地を確保するために農地を開発し工業用の用地を生み出そうとしました。

沢長生市長は、企業誘致の具体化に向けて企業に対する打診を続けてきましたが、実りませんでした。

2011年4月、南足柄市長の交代があり、現在の加藤修平市長になってからはめぼしい動きはありません。

こうした中で計画記域内のいわばつまみ食いのような形で「道の駅」構想だけが突出して推進されました。

確かに計画の中には、「道の駅」構想は位置づけられてます。しかし、あくまでも企業誘致が主であることには変わりありません。

南足柄市議会の中にも異論が強かったことは、予算案が2回否決され3度目の正直で通ったことに如実に表れてます。

私がひどく懸念するのは、「道の駅」構想だけが、構想から切り取られて突出してしまい、企業誘致につながらないことです。

「道の駅」と企業誘致との関連もあやふやです。「道の駅」は、地域の農業を推進することが狙いのひとつです。

水田を潰して企業誘致をしようとして、一方で「道の駅」を建設して地域農業の推進を図るのは矛盾ではないかということです。

「道の駅」とセットで企業誘致を考えるのならば、先端的な農業産業を誘致するなど一貫性を持たせる必要があります。

企業誘致と「道の駅」という矛盾を抱えてしまうことについて議論を深めた形跡は見えません。

要するに、全体の構想を先送りして、やり易いところ成果が出やすそうなところに飛びついたのではないでしょうか。

こうしたやり方は、将来世代に禍根をもたらします。つまみ食い的な開発を誘発する恐れがあるからです。

「道の駅」だけが許されて、なぜ自分の土地は、先行開発ができないのかという異論が出てしまうからです。

企業誘致をめぐる土地交渉に悪影響を与えます。加藤市長のやり方は、木を見て森を見ていません。再考が不可欠です。