民主主義を守るため、佐々木ナオミさんと古谷一郎さんの挑戦

民主主義の原点は選挙です。選挙がなければ民意が示せません。神奈川県議会で異常事態が進行中です。

17日付の神奈川新聞が報じていました。県内48選挙区のうち半分の24選挙区で無投票だというのです。

前回は11選挙区、1991年の時にも11選挙区で無投票でした。今回は急激な上昇です。

出馬へのハードルが高いことと、そもそも政治家へのなり手が減っていることのふたつの原因が考えられます。

県議選となると選挙区の範囲が広くなり、選挙準備も大変で資金もかかるという実情があります。

俗にいう、地盤、看板、カバンもなく組織的支援もない若者がいきなり挑戦するには無理があります。

また、例えば定数が2で自民党系と野党系、あるいは2人の保守ですみわけが確定している選挙区への挑戦は腰が引けます。

神奈川県特有の地域事情があります。横浜、川崎、相模原という政令指定都市を抱えています。

人口900万人強の人口のうち3分の2が政令指定都市に住んでいます。住民たちは、ほとんど県の存在を意識しません。

政令指定都市は大半の業務を市が行い県の守備範囲は、警察、県立高校、医療行政などに限定されます。

県議会よりも権限を持つ市議会の方への関心が高くなり、候補者もそちらの方への出馬を考えてしまいます。

横浜では、県議18選挙区のうち11選挙区で無投票の可能性が高いと報じられていました。

県議の場合、権限が市の方が握っているとはいえ、議員としての報酬や政務調査費は一緒です。

年間ひとり当たり2千数百万円の税金が議員に投じられるのに選挙の洗礼がないのは如何なものかと思います。

神奈川新聞が問題提起しているように、議員のなり手がいないという課題は、大都市部の県議にも及んでいます。

こうした県内の情勢の中で、神奈川県西部地域では、3選挙区のうち2選挙区で激戦が既に展開されています。

前回まで別の選挙区であった南足柄市と足柄上郡は強制的に合区されて現職同士が激突する格好とならざるを得ませんでした。

県の役割が極めて大きい地域の定数が削減されて激戦となり、県の役割が乏しい横浜市では6割が無投票というのは矛盾です。

特筆されるのは、保守地盤の小田原選挙区では自民2議席独占でした。ここに立憲民主党の女性候補が敢然と挑戦します。

自民の2人のうちのひとりは、市長選に回ることが今年になって決まり、保守系の市議が新たに出馬することになりました。

女性候補は、小田原市議会議員の佐々木ナオミさんで、県西地域初の女性県議を目指しています。

昨年9月にいち早く出馬を決断し行動に移した勇気は大いに評価されるべきだと思います。

県西市域に隣接する秦野市も自民党が強いところです。2議席とも自民党です。ここでも挑戦者が現れました。

著名なラーメン店なんつっ亭の大将こと古谷一郎さんです。やはり立憲民主党の公認での出馬です。

なり手がなく無投票となる選挙区続出の中で小田原市と秦野市の2人の挑戦は、大いに評価されると思います。