私の平成史⑲~無投票再選~
首長にとって無投票で次の4年間が託される状況は、率直にうれしいものです。誰もが望むのがよくわかります。
開成町の府川裕一町長夫人は、4年前再選を果たした後、間なしに、後援会の幹部に向けて次は無投票でと発したと言われます。
しかし、いかに内部の会議とはいえ町長の後援会の会議の場です。公の場に準じた謙虚な姿勢が必要です。
2期目がこれから始まるのに次は無投票でというのは、何の成果もあげていないのに虫が良すぎます。
この発言は、私が府川町政に反旗を翻す伏線になりました。無投票にさせていけないとの思いが頭をよぎりました。
首長選挙で無投票で当選するには、実績を積むのが先決です。その結果が、いつ選挙になっても勝てるとの自信につながります。
この自信が大きいです。自信があればひょっとしたら地位を追われるかもしれないという恐怖感を乗り越えられます。
何より恐怖心がすべてを狂わせます。自信がないとつまらないことにおびえてろくな振る舞いはしません。
また、任期中に後援会活動を活発化させて強力な支援体制を作ってしまうことも大切です。
小さな田舎の町で浮動票を頼りに空中戦の選挙を行うのは心もとないです。顔の見える応援団は不可欠です。
もし後援会がなければ丸腰で戦争するようなもので、行き当たりばったりの選挙戦となり勝利が確実になりません。
注意を払わなければならないのは後援会委員だけが町民ではないので全体を見る眼を失わないことです。
私の場合は、町長1期目で、若い町長らしい行動力を発揮でき開成町に新たな風を起こしたことは間違いなく言えます。
あじさいの祭りの全国発信、自転車の町づくりが最も大きな成果として挙げられます。
足元をすくわれるとしたら酒まみれの生活態度でしたが、それもきっぱりと断ち切りましたので心配ありませんでした。
後援会員も着実に増え後援会の活動、特に女性の皆さんの行動が活発で私の政治活動を強力に支えてくれました。
2002年2月の選挙戦は、1日で終わりました。町内を締め切り時間の午後5時まで回り各地で辻説法を行いました。
選挙戦の辻説法とは異なりこれまでの実績をていねいに説明しこれからのまちづくりの方向を伝えました。
支持の厚みが増していることを実感し、手ごたえを感じたことを今でも覚えています。自信が更に強まりました。
2期目、何をしなければならないかは明確でした。ひとつは、かやぶき屋根の古民家の再生事業です。
開成町で唯一の歴史的建造物である瀬戸屋敷を再生させて、開成町の歴史と文化を発信する場とする取り組みです。
もう一つは、町南部に広がる開発計画区域の開発が進むかどうかの決定打となる企業誘致でした。
企業誘致が成功しなければ、開発計画は一気に暗礁に乗り上げます。露木町政2期目の最大の課題でした。
事業が進んでいないと地権者のいら立ちも出始めていました。大勝負に出るぞと自らを鼓舞して2期目はスタートしました。