私の平成史㉒~企業誘致3~
富士フイルム先進研究所の誘致に成功したので、自慢話をしたくて、過去の話を持ち出しているのではありません。
企業誘致というお題目をたてながら、首長が政治生命をかけて取り組んでいるのか疑問な事例があるので問題提起してます。
地方自治体が将来にわたって安定的な税収を得るためには企業誘致は欠かせません。死活問題なのです。
本当の本気で取り組みませんと活路を見い出すことは困難です。やっているふりだけしても結果はついてきません。
私の住む開成町と隣の南足柄市との間で進めているはずの足柄産業集積ビレッジ構想なるものがあります。
市町の境に広がる150ヘクタール近い農業振興区域の土地利用を変更し企業誘致や道の駅などを設置しようというものです。
中核をなすのは企業誘致です。しかし全く進んでいません。両市町のトップの動きも見えません。
こうした怠慢を見ていると、企業誘致に精魂傾けてきた者にとっては度し難いところがあります。
両市町のトップに本当にやる気があるのですかと問いただしたいです。喝を入れる意味もあってこうした記事を書いてます。
企業誘致シリーズの①と②で、伝えたかったことをもう一度整理します。まずは大局、時代の流れを読むということです。
日本を取り巻く経済社会がどう動いているのか大きく把握して流れをつかまないことにはピントが外れます。
いまなら、人工知能、ビックデータ、ロボット、スマート医療、自然エネルギー、ドローン、こんなところがキーワードでしょうか。
日本全国同様なことを考えていますので自らの地域の強みを最大限活かした形で進めるプランをたてなければなりません。
開成町の場合は、研究開発を時代の流れだと読み切りました。隣に富士フイルムの本社工場があるという地域事情を活かしました。
具体の交渉は、水面下で進めざるを得ません。企業側だって新たな研究開発拠点の建設は極秘事項です。
この段階から責任ある者、すなわち決定できる者が、直接交渉に当たらないとズルズル長引くだけです。
小さな町では町長以外にほかに人材はいません。企業側もトップの方が絶対望ましいです。
いちいちお伺いを立ててということでは真剣勝負にはなりません。相手が超大企業でも怯むことがあってはなりません。
図体の大きい小さいは関係ありません。トップはトップです。地域の命運を担っているという自負心があれば対等です。
さて、富士フイルム側から具体の土地価格について10万円台のできる限り下の方という打診があったことを前回書きました。
私は、ここが富士フイルムが絶対に逃げないようにいちかばちかの勝負に出ました。土地売却予定価格を10万円でと返しました。
当時の富士フイルムの全体権力者、大西会長からの使者は、私の回答を聞いて明らかに驚いてました。
相手の想定を超えた条件を出し、こちら側の断固たる意思を示しました。交渉の歯車を一気に回そうとしました。
この作戦は、成功しました。富士フイルム側は、新たな研究家発拠点の建設に向け動き出しました。