静岡県掛川市の大日本報徳社例会の講演で私は、報徳仕法でお茶の再生を目指す問題提起をしました。

二宮尊徳の人生を辿れば自明のことですが、尊徳は、まちづくりのプロフェッショナルであって道徳家ではありません。

村おこしを実践する中で、成功に導く、道徳を編み出したのです。道徳理論があって行動したのではありません。

日本の農業地帯の現状は、グローバル化によって生産物価格が低迷するとともに後継者がいないという危機に瀕してます。

二宮尊徳が江戸時代末期に直面した農村の疲弊とは様相は異なりますが存続の危機という面では同じです。

二宮尊徳を道徳家として捉えるのではなく実像である村おこしのプロとして捉え直し現代への応用を考える価値があります。

二宮尊徳は、まずは土台金といわれる事業遂行の資金の確保を先行させました。自らも多額の出資者でした。

その上で、長期の事業計画を綿密に策定し、その柱は、財務の健全性に徹底してこだわったことです。

藩が過剰に年貢を取り立てて計画をとん挫させないように厳格なルールを作り領主層に厳守を求めました。

やる気があっても資金がない農民には金利ゼロで融資し返済する計画までも策定しました。

また、チームで事業の遂行を担い、条件が良く実現可能性の高い地域から事業を進めていくことを目指しました。

こうした一連の村おこし政策は現代においてもそっくりそのまま通用します。現代版の報徳仕法として再提起すべきです。

日本一のお茶どころ、静岡も消費量の減少や価格低迷で危機に瀕しています。国内生産では鹿児島県に追い上げられてます。

近年は、品質も上がり静岡茶と肩を並べる存在になっています。荒茶生産量のシェアは。38%対32%です。

もうかる茶業という意味では鹿児島に後れを取っているのが実情です。農業県である鹿児島の必死さが伺えます。

もうひとつ危機の可能性があります。品質の高い緑茶が海外で生産されるようになったら脅威です。

ブランド力の高い静岡茶もうかうかしていられません。反転攻勢を総力を挙げて実践する時期に来ています。

(写真は、掛川市HPより)

講演の後、茶畑周辺の草をこやしにする農法を継続している掛川市東山地域の生産地を見せてもらいました。

80戸ほどの農家は現在60戸ほどでした。それは、努力して伝統的生産にこだわっても価格が上昇しないからです。

後継者がいる農家は3分の1ほどだということでした。有名なお茶の生産地の現状を知り驚きました。

報徳仕法による茶業の再生を図ることが急務です。その際に注意しなければならないのは現代技術を活かすことです。

人工知能、ロボット、ドローン、最先端の科学技術との融合による茶業再生のモデルを目指すことが大切だと思います。

また、自然エネルギーの活用、有機農法の導入といった地球環境保全への配慮も考えなければなりません。

地域を挙げて挑戦するに相応しいテーマだと思います。報徳運動のメッカ、掛川からうねりを起こして欲しいです。