神奈川県開成町北部の田園地帯の一角に構える古民家、瀬戸屋敷、今や町のシンボルとなってます。

1800坪の土地と建物、すべて一切合切、瀬戸家より寄付を受けて2001年から5年かけて再生を果たしました。

完成記念式典は、2005年5月、町制施行50周年の記念事業として県知事を迎え行いました。

町長2期目のメインイベントでした。21世紀型のまちづくりのひとつのモデルだと考えていました。

古いものをよみがえらせて活用する手法こそが資源を大切にするという時代の要請に応えるやり方だと思いました。

過ぎ去ったものを懐かしがるという郷愁ではなく、よみがえらせた場を今に活かして行くということです。

この点は非常に大切な点です。過去を飾り物にするのではないという発想が瀬戸屋敷の再生の原点です。

江戸時代中期の最上層の農家のたたずまいを今に残し風格を保っています。展示物として位置づけがちです。

私は、それでは命の宿らない過去の遺跡をただ展示しているだけだと捉えていました。

自由に使えて瀬戸屋敷から新たな価値が発信できるようになってこそ、再生だと思っていました。

文化財の指定も町レベルでとどめました。県レベルの指定も十分に可能でしたが制限が強くなることを懸念しました。

町レベルの文化財ならば町長の判断で自由に活用することができ、様々な展開が可能だと思ったからです。

貴重な飾り物としてしまうと、触れることもできず遠くから眺めるだけです。意味がありません。

子供たちへの読み聞かせ、コンサート、落語、なんでもありです。活用に重きを置きました。

その最大の成功事例が、町婦人会によるひな祭りです。2月から3月にかけての町の最大のイベントに成長しました。

もっともっと活用の余地はあります。現状は、私が種をまいた取り組みの延長線上にとどまっているに過ぎません。

かやぶき屋根の古民家で行われる日本の伝統行事、外国人が興味を持たないはずはありません。

外国人と地域の子供たちが触れ合う絶好のチャンスを提供できるのです。なぜ取り組まないのか不思議でなりません。

トップの内向きの姿勢が、瀬戸屋敷というせっかくの宝物を活かさない方向へ進ませてしまっていると思います。

過去は過去で手に触れることはできません。今に活用してこそ蘇ります。その場を提供するのが新たなまちづくりです。

過去と今が古民家という空間で融合するわけです。そこから新たな価値が誕生する可能性が生まれるのです。

イノベーションと言って良いです。イノベーションは、創新と訳されます。異質のものが結びつくことで起こります。

イノベーションとは新結合ともいわれる理由です。時代の新結合もあっても良いではありませんか。

江戸時代中期のたたずまいの景観でモダンアートやファッションショー、超現代の催しがあっても良いのです。

かやぶき屋根の古民家は、再生した当初の原点に戻りもっと活用して欲しいと叫んでいいます。