私の平成史㉜~古民家再生5~

(あじさい祭り実行委員会HPより)

あじさいの里の一角にある、かやぶき屋根の古民家、瀬戸屋敷の一帯は、桃源郷と表現してもおかしくない空間です。

この景観は、未来に残していくべき貴重な遺産だと思います。常に保全を考えて行く必要があります。

飾り物にしないということが絶対原則です。活用することで命は吹き込まれ活き活きとします。

飾り物にしたとたんに生命力は失われていきます。建物だけではなく地域一帯を活用することです。

うれしいニュースは、瀬戸屋敷とは、本家と分家の関係にある瀬戸酒造が昨年3月復活を遂げたことです。

主体となったのは民間コンサルタント会社です。コンサル会社が直接事業を展開するという珍しいケースです。

瀬戸酒造の社長に就任した森隆信さんとは、奇妙といっては失礼ですが、不思議な縁があります。

足柄地域で自然エネルギーの活用を進めようと活動していた時に知り合いました。九州男児です。

酒蔵の復活に強い意欲を持っていてとても期待していました。いうだけではなく実践しました。

酒造りは地場産業の最たるものです。1980年以来途絶えていた酒蔵の復活は、新たな歴史の出発となります。

そろりと一歩を踏み出した段階ですがこの一歩は画期です。桃源郷ゾーンの核となる施設だと思います。

瀬戸屋敷の周りにはかやぶき屋根の古民家が2軒あります。1軒は、古民家ガーデン紋蔵という名で活用されています。

民間の方が管理し若者が中心となって市を開いたりしています。ちょっぴり都会風の匂いのする活用です。

市といえば地域の元気な女性たちが小さな地場産の店を運営してます。「郷の市」です。

瀬戸屋敷を訪れた方々が立ち寄る店です。「みんなの我が家」の延長線上にある温かな雰囲気が売りです。

町では大規模な地場産施設の建設を考えているようですが現在の店の良さは残すことを原則にすべきだと思います。

瀬戸屋敷のほど近くに中野家の古民家があります。東京・銀座で画廊を経営し美術誌を発行されていた方のお宅です。

私が町長だった時、一度だけ町長室を訪ねてこられて屋敷の活用について希望を述べられていました。

当時は、瀬戸屋敷の再生で手一杯でしたので中野家の古民家の未来図を考えるだけの余裕はありませんでした。

当主は亡くなられ娘さんが後を継いでいられます。町として本気で話し合う時期にきたと思います。

貴重な美術品も多数所蔵されていてあじさいの里のかやぶき屋根の美術館に変身することは大いに考えられます。

官と民が協力し合って瀬戸屋敷の一帯を桃源郷とするため、行動する時期に入ったと言って良いです。

瀬戸屋敷を中心に古民家が程よい間隔で並び、それぞれが活用され活き活きとしているゾーンを目指して欲しいです。

日本の農村の原風景を残しつつおしゃれなたたずまいの古民家が並ぶ世界有数の観光スポットになる可能性を秘めてます。

開成町のトップは、自らの可能性に自信を持ち、世界に発信できるかどうか、その力量が問われていると思います。