思いからビジョンへ~大阪都構想から何を学ぶか~
ちょうど10年前の今頃です。地方の首長が地方分権改革を切り口に日本の政治を変えようとの動き強まりました。
そのころ私は、内閣府の地方分権改革推進員会の委員を務めていました。運動に参画しました。
横浜市長だった中田宏さん、愛媛県松山市長だった中村時広さん、東京都杉並区長だった山田宏さん。
それと当時飛ぶ鳥を落とす勢いであった大阪府知事の橋下徹さん。全部で6人が主要なメンバーでした。
私以外は、メディアで華々しく活躍していた方ばかりです。名称は、首長連合と名付けました。
橋下さんの胸には、東京一極集中からの脱却したいとの思いがあったことは間違いありません。
大阪の長期低落を食い止めることができるのは俺だとの強い自負と熱い情熱がありました。
そうした思いが大阪都構想に結実しました。思いからビジョンへと進化を遂げたわけです。
ビジョンは、構想と言いかえてよいです。ビジョンと表現すると視覚的イメージ、構想は、文字で表現と分類できます。
大阪都といえば東京都のような感じというイメージがおぼろげながら湧いてきて府民・市民と共有できます。
ここが大切なポイントです。更に具体化するためには、関係者間で議論を煮詰め計画へと進みます。
政治家が打ち上げるのは、ビジョンで良いのです。より詳細な計画は官僚の応援を得て創って行けばよいのです。
橋下さんが類まれなのは、大胆不敵なビジョンを臆することなく発したところにあると思います。
首都直下型地震が発生した場合、東京だけが全ての中心というのではあまりに脆弱です。
東京に並ぶもうひとつの目玉を日本に創り出そうとの方向性は正しいです。歯車が動き出しました。
大阪府と大阪市のトップが思いを共有することが一番ということでダブル選挙を仕掛け2011年11月圧勝しました。
ここから2015年5月の住民投票までは、反対者をけ散らして進み結果として散ったことはご承知の通りです。
しかし、大阪府と大阪市が一心同体となってまちづくりを進める体制だけは強固なものとして存続しました。
今年の春の統一地方選挙で橋下さんの流れをくむ維新の会が圧勝したのは、府と市一体による改革路線の勝利です。
圧勝を導いたのは、大阪都構想というビジョンがけん引する改革路線だったと言い換えて良いです。
橋下政治に対する好き嫌いはあるにしても結果として府民と市民はその路線を選び続けています。
ビジョンが持つ影響力の強さが証明されています。今後も性急にことを進めず漸進的に対処すれば続きます。
橋下さんが切り開き、現在も続いている大阪維新の会の壮大な体制刷新の動きから何を学び取ればよいのでしょうか。
橋下さんが嫌いだからといって事実から目を背けては、時代を創ることはできません。
リーダーが強い思いを持ち大胆なビジョンを打ち上げることで大きな変化が起きることが最大の教訓です。
ただし権力の座を得たからといって急いではいけないということも同時に心に刻む必要があります。