理屈は後からついてくる解散強まる

政府・自民党は、衆参同日選挙を断行したいのでしょう。踏ん切りをつけたと見ます。

昨日の菅官房長官の記者会見で通常国会中に野党が内閣不信任案を提出した場合は解散の大義名分になると明言しました。

その気がないのならば「解散は総理の専権事項」とだけ言って逃げる手も当然あったはずです。

そうは言わずに「解散」の2文字を明言したということは、衆参同日選挙が想定内ということの証です。

問題は、何のための解散かです。本音は、野党の選挙準備が整っていない今こそ勝てるチャンスということでしょう。

どこかの町の町長が32票というきわどい勝利を収めて「勝ちは勝ち」と言い放ちました。

次元は違いますが、根っこは一緒です。権力を維持することが最大の目的であってその他のことは二の次です。

理想の政治とはほど遠いです。しかし、権力という魔物に取りつかれた政治の現実でもあることは認めなければなりません。

私は、政府・自民党は、解散に向け突き進むと見ます。走りながら解散の理屈をあれこれ見つけるのだと思います。

トランプ大統領の訪日、北朝鮮に対する対話の呼びかけ、中国との友好関係の演出、全て選挙に勝つための装置に見えます。

しかし、本当の本音は、10月の消費税増税後の選挙はやりにくいという状況判断があるはずです。

そこに来て米中貿易摩擦の余波を受けて経済状況の悪化が顕著になり、消費税増税自体が怪しくなりました。

このまま事態を放置すると政局が混乱する危険性が高まるということで先手を打って解散ということです。

判断を迷い苦しんでいるのは消費税の増税まで延期して勝負するのかどうかという一点だと思います。

幼児教育無償化といういわば国民にとっての飴玉のカードはすでに切りました。延期ならば財源に穴が開きます。

それでもやるかどうかです。私は勝ちは勝ち路線の政府・自民党は、国家財政より勝利を優先すると思います。

幼児教育無償化を全面的に掲げ、財源については増税を念頭に置きながら先送りもあるとの姿勢をとると思います。

7月の衆参同日選挙で勝利を得れば、消費税の増税の判断は、国民から一任を受けたとの姿勢で臨むでしょう。

安倍総理は、憲法改正も争点の目玉にしたい考えでしょうが、こちらは環境が整ってませんので無理です。

対する野党の方がどう出るかです。衆議院選挙も一緒となると衆議院の300小選挙区は全て1人区です。

参議院選挙の1人区とは、桁が違います。調整難航必至です。野党第1党の立憲民主と第2党の国民民主との溝があります。

流れは圧倒的に立憲民主ですが支持する組合は国民民主に傾いていて調整は容易ではありません。

立憲民主党の枝野代表が頑固一徹路線をとると両党が別個に戦う選挙区が増えることになります。

枝野代表が、立民の立場を確固たるものとするためあえて妥協を拒み、国民民主に勝負を挑む可能性があります。

枝野代表としては、今度の衆参同日選挙ではなく次の選挙以降に勝負をかけるということでしょう。あり得ます。