白い巨塔~真の人間の強さ~
土曜日と日曜日、5夜連続の白い巨塔の4回目と5回目、しっかり見ました。朝早起きですので寝不足になりました。
白い巨塔と言えば田宮二郎主演の作品の印象が強烈です。1978年から79年にかけてですの大学生の時でした。
クールでニヒルで演技とは思えないような迫力が画面から伝わってきたことを覚えています。
田宮二郎は実生活で自殺に追い込まれましたので死神に取りつかれて演技していたのかもしれません。
唐沢寿明主演の白い巨塔の印象は田宮二郎作品に比べれば薄いです。2003年から4年ですので開成町長の時です。
財前五郎の愛人役の黒木瞳の小悪魔的な演技は記憶に残ってますが主演の唐沢の方は今ひとつ覚えていません。
さて、今度は岡田准一です。岡田准一は、NHKの大河ドラマの軍師官兵衛の演技が光ってました。
岡田准一は、田宮二郎のようなクールでニヒルな印象はありません。どんな財前五郎になるのか興味津々でした。
出世への野望をあからさまに押し出していました。演技の全てに熱さが目立ってました。
私は、医学会、特に大学におけるポストの争奪戦については門外漢ですので確たるコメントを書けません。
かつて在職したNHK内部でのポスト争いから想像するとさもありなんという感じがします。
NHKの場合は、政治が絡みました。私がいたころは田中角栄さんの流れをくむ竹下派系列の存在感が圧倒してました。
金丸信さんとか竹下登さん小沢一郎さんといった竹下派の幹部の意向を忖度していたのは間違いありません。
私は政治部で自民党幹事長番を務めていましたのでこの真っただ中に入り込んで動き回ったこともあります。
今でも表に出せないような結構汚いことを平然とやってのけたこともありますので財前のやり口も理解できます。
当時は自らが属する系列からNHK会長が誕生することが自分の立場を強くすると思い込んでました。
ドラマでは、里見脩二の存在が気になります。財前の生き方と真逆な生き方を貫きました。
学内の出世には一切関知せず患者のためにどうするべきなのかを追い求める役柄です。
決して激することなく常に冷静に正論を語り、本当の強さとは何なのかを示しているように見えました。
里見のような人格こそが本当の強さなのだと思います。財前がいくら目立っても最後は里見にはかないません。
里見は、自我ではなく私心がない無私の強さです。財前は、自我の強さ、自分が自分がという強さです。
私利私欲がないことのすごみは決して声高に叫んだり力づくで押さえつける強さではありません。
常に進むべき道を指し示すことができる強さです。欲から離れていますので正しい判断ができるからだと思います。
欲にまみれた世界を切り拓くかに見えた財前の強さは、死を前に脆くも崩れ去り、最後は、里見に頼らざるを得ませんでした。
私もNHK時代、財前タイプでした。退職後、何度も選挙で敗れ、ようやく里見タイプの強さがわかるようになりました。