憲法学者、小林節氏の警告
25日、小田原の報徳二宮神社の報徳会館で憲法の勉強会が開かれました。講師は、小林節さんでした。
安保法制をめぐる論争で政府の姿勢を真っ向から批判した元慶応大学教授です。記憶に残っていることと思います。
かつては憲法改正に賛同していた立場を変えて集団的自衛権を認める政府の憲法解釈の変更を論難しました。
結局は、与党の数の力で押し切られて安保法制は2015年9月に国会で成立し2016年3月施行されました。
小林さんは、学者から政治の現場に飛び込もうと自ら政治団体を設立し2016年7月の参議院選挙に打って出ました。
結果は惨敗に終わりました。宣伝のために巨額な資金が必要な参議院選挙で理念で戦うことの困難さを示しました。
小林さんを招いて勉強会を開催したのは、小田原の著名人らが毎月集まって時事の話題をテーマに意見交換している会です。
小林さんの考え方は安保法制で論陣を張った時と全く変化はありませんでした。一貫してました。
変化があったのは危機感の深さでした。このままでは憲法改正が現実のものとなるという危機感が一層深まってました。
安倍総理の頭の中は憲法改正を是が非でも実現したいとの一点にかかっていると確信を持って語ってました。
憲法改正勢力を、改正に必要だとされている3分の2確保することが常に最優先課題だということになります。
確保する手段として衆参同日選挙が望ましいのであれば断行するし、その必要がないのなら見送るという見通しでした。
判断の基準は、憲法改正にあるということです。では何を改正したいのかということになります。
小林さんの主張はこれまた極めてシンプルでした。憲法9条に3項を新たに設けて自衛隊を明記する改正です。
安倍総理は、戦争を禁じ武力の保持を禁じた憲法9条の1項と2項をそのままにしての改正だから現状と変わりないとしてます。
小林さんはまやかしだと強調してました。安保法制で集団的自衛権を認めた自衛隊が新たに明記されるのです。
憲法に限らず法は新たに書き加えられた条文の考え方で規定されるのが常識であることが忘れられていると指摘してました。
公明は、最終的には政府・自民党の判断に引きずられてしまうのが常であると語ってました。
維新は改憲に賛成なので国会内は憲法改正の勢力で3分の2以上占められてしまうとの見通しでした。
残るは国民投票です。公職選挙法は適用されません。巨額な資金力を有する政府・自民党の宣伝に圧倒されると訴えてました。
自ら出馬した参議院選挙で政府・自民党の宣伝力のすさまじさがトラウマのように身体にしみこんでいるからだと思います。
結果として安倍総理の憲法改正という宿願は果たされる可能性がますます高まっていることになります。
憲法の改正に反対する野党は議論を避けることを止めてなぜ反対なのか堂々と論議する姿勢を持つよう求めていました。
小林さんは、立憲民主党ら野党の責任の大きいと判断しているだけに議論から逃げている現状を憂いていました。