神奈川大生に学ぶまちづくり4~3・11からの復興~

私が開成町長に就任当初は、今と違って大変な就職難でした。2000年代初めは就職氷河期と言われました。

ひとりかふたり採用するのに200人以上の応募がある時もありました。町長も志望動機を書いた小論文を読みました。

全部まともに読むことは到底できません。最初の数行読んで真剣に読む内容かどうかを判断してしまいます。

今回、いちばん目を引いたのは「なんでやねん!」という言葉で始まる答案でした。引き込まれました。

大阪では当たり前の漫才の掛け合いがなぜ東北地方にはないのだろうという問題提起でした。

自分自身を起業家に見立て、生まれ故郷の福島県相馬市で新規事業を興したいと書いた答案です。

相馬市で多額の基盤整備財源が必要な企業誘致は、困難だというリアルな現状認識を示してました。

地域密着型の地場産業が目指す方向です。同時に観光資源として活用すべきだというアイデアでした。

具体の提案は、お笑い劇場です。東北の相馬にお笑いの拠点を作ることを目指したいというのです。

「新鮮でインパクトがあるし話題性がある」と自ら記述してましたが、確かにその通りだと思いました。

雇用の促進にもつながるでしょうし既存の飲食店などにも波及効果が生まれることにつながります。挑戦して欲しいです。

同じ福島県の葛尾村の復興について論じた答案もありました。3・11の福島第一原発事故の被災地です。

2016年6月12日に避難指示が解除された地域です。震災前の人口は1531人でした。

しかし、すぐに帰村を考えている人は全体の14パーセントに過ぎないという実態があります。

震災後に建設された交流施設を拠点にイベントを行い賑わいを一時的にせよ取り戻すことに期待をかけていました。

茨木県大洗町の復興についての答案もありました。復興のきっかけとなったのはアニメ作品でした。

調べてみると「ガールズ&パンツアー」という作品でした。2012年、この作品の映画上映の影響は絶大でした。

大洗町はあんこうで有名です。答案によればあんこう祭りの来場者数は、一挙に倍増し6万人以上となったということです。

この勢いは今も続いており昨年は13万5千人だということです。移住者も増えているというのですから驚きです。

現在の人口およそ17000人でそのうち移住者は200人から300人と答案には書いてありました。

ふるさと納税制度を使って財源確保にも余念がなく大洗町の震災からの復興はひとつのお手本だと言えます。

このブログのシリーズの最初にも書きましたがアニメの影響はすごいものがあると改めて感じました。

一方、ずしりと響く鋭い指摘もありました。岩手県宮古市の復興の現状を冷徹に見つめ直した指摘です。

復興特需に頼り過ぎではないかとズバリと述べてました。特需が住意義去った後のことを案じていました。

先進事例を学び持続可能なまちづくりを展開し人口減少を食い止めなければならないと危機感に溢れてました。