香港問題と日中民間交流

経済的には、押しも押されぬ世界第2の経済大国となった中国、アメリカとの経済交渉も引きません。

日本のように強気で押せばすぐに折れる国と違い手強いとアメリカも思っていることでしょう。

中国は、経済力を付けたことによりかつての偉大なる中国の復権の欲望が頭をもたげてきました。

ところが落とし穴がありました。香港の民衆の抵抗です。市民デモの動員力は半端ではありません。

主催者側の発表ではありますが18日の参加者の170万人。圧倒されます。人口は750万人です。

赤ちゃんまで含めて全人口の4分の1近くがデモに参加したことになります。驚異的です。

中国本土からの圧力への警戒感がまん延していることの証明だと思わざるを得ません。

中国は、香港に対しては高度の自治権を認める「一国二制度」を採用し統治を進めてきました。

犯罪者の中国本土への引き渡しを認める条例は、自治が崩れる不気味さを喚起させ騒動につながりました。

そもそも香港の富裕層はすでにオーストラリアなど外国に財産を移し逃げている方が多数です。

私も香港の富豪の方が小田原を訪問した際に同行したことがあります。一族揃ってオーストラリアに移住済みでした。

中国に対する警戒感が強いのです。移住できる人はそれでよろしいですが、移住できない方は大変です。

底流にあった中国本土に対する恐怖感、嫌悪感が湧き出たと言えます。簡単に収まるはずがないと思います。

中国にとって香港の民衆のデモは、厄介この上ないのどに刺さったとげの様な存在となってきました。

1989年6月4日の天安門事件のように武力で鎮圧という悪魔のシナリオがよぎります。

中国に対する国際的イメージは極端に損なわれてしまいマイナスの影響が大き過ぎる選択ですが予断を許しません。

マルクスは、「歴史は二度繰り返す。一度目は悲劇として二度目は喜劇として」と述べました。

香港問題への力の行使は、国際世論の反発で腰砕けになり喜劇に終わってしまうのではないでしょうか。

香港問題は中国が真の大国となるための試金石のように見えます。力ではなく対話で処せるかどうかです。

自由と民主主義を知った香港の民衆を強権で抑え込むのは、無理があるのです。時代錯誤です。

香港の民衆運動は、日中間の民間レベルの友好交流活動にも影響を徐々に及ぼしてくると思います。

香港民衆への共感の輪は、若い世代を中心にインターネットを通じて世界に広がり日本も例外ではないと思うからです。

香港問題は、中国の内政問題だから日中友好活動とは無関係という杓子定規な態度は、問題の本質を見誤ります。

自由と民主主義は、国家体制の如何を超えて尊重される時代に入ったと香港の民衆は訴えているといえるからです。

日本の日中友好団体において自由と民主主義を尊重し対話での問題解決を期待する姿勢が必要です。

こうした姿勢は決して日中友好を損ねません。むしろ双方が本音で語り真に理解しあう礎を築くと思います。