林文子横浜市長の決意とハマのドンの意地のぶつかり合い
テレビ画面を通じての印象です。林文子横浜市長の表情から強い決意がひしひしと伝ってきました。
林市長は、カジノに対する根強い反対世論があることはわかり切っているでしょう。
とりわけハマのドンといわれる横浜港湾協会の藤木幸夫会長の激烈な反対は、痛いほど承知しているはずです。
これまで白紙としてきた態度を一変させることで反対世論を刺激することも織り込み済みでしょう。
それにもかかわらず困難な選択をし挑戦する姿勢にサムライ・スピリットを感じ敬意を表します。
開成町長時代の話しですが、横浜市役所に林市長を訪ね意見交換したことがあります。
横浜市民が、県西部を流れる酒匂川水系から飲料水の供給を受けている事実を知らないことへの問題提起のためでした。
林市長は、人懐っこい感じの方でした。自動車販売やスーパーの経営で培った営業の熟練さを感じました。
今回のカジノの誘致を表明する時の記者会見の表情は、その時とは一変してます。覚悟の強さが出てました。
単なる意見交換の場面とは違うのは当たり前ですが、直感でこれは本気だと思いました。
横浜市は、住民と直接、向き合う基礎自治体として人口375万人を誇る日本最大の地方自治体です。
巨大な人口を有するとはいっても一方で急速な少子高齢化に直面しそのための対策の財源確保がままなりません。
横浜市は、地方に関する権限や税収を横浜市に一元化する特別自治市構想を掲げています。
横浜市として県と対等の立場となり互いに連携するとはいえ事実上の神奈川県からの独立構想です。
特別自治市構想は、横浜市として将来展望は決して安直ではないとの危機感の表れだと思います。
今回、カジノ誘致にかじを切ったのは、特別自治市構想と同様将来への危機感がいちばんだと思います。
横浜市の昼夜間人口比率は0.91です。夜間人口の方が10パーセント近く多いのです。
理由は明らかです。横浜都民の存在です。東京で働き夜は自宅に戻ってくる人口が多いのです。
率直に言えば東京の巨大なベッドタウンといえます。求心力が高いのは横浜都心の一部に過ぎません。
こうした状況下で税収を増やし少子高齢化の財源に充てるためカジノに関心を示すのは私は自然だと思います。
1兆円ともいわれる巨額な初期投資、その後の継続的な経済効果、更に地元自治体への税収は魅力です。
背に腹は代えられません。林市長として勝負に出たのだと思います。退路を断ったと言えます。
横浜港湾協会の藤木会長が立ちはだかります。山下ふ頭をばくち場にはさせないと息巻いてます。
しかし、カジノ抜きで巨大なホテルや国際会議場の経営が成立するとの断言には首をかしげます。
ディズニークルーズとか自動車レースのF1誘致といった代替案をぶち上げているのも気になります。
カジノは絶対悪ではないです。国内外の富裕層に利用してもらえば所得再配分になります。
藤木会長は、意地を張っている側面もあると思います。私は、徹底議論で落としどころを模索して欲しいと思います。