1000ミリの雨に耐えた箱根から治水を考える

一日の雨量が870ミリで降り始めからの雨量が1000ミリを超えるという雨の降り方はどんな様相だってのでしょう。

妻の知人が箱根の仙石原に住んでいてその雨のすごさをスマホの動画で見せてくれましたということです。

ものすごくてまさに滝のように道路を雨水が流れていたということです。妻が驚愕してました。

早川を下る濁流の激しさはテレビ画面から見ている側に飛び出してきそうな勢いでした。

それでも箱根は、千曲川流域や阿武隈川流域の様な大規模な洪水の発生はありませんでした。

箱根登山線の陸橋が土砂崩れで押し流されて運休していますが死者や行方不明者は出ていません。

箱根は、1000ミリの雨に何とか持ちこたえたと言って良いでしょう。なぜでしょうか。

昨年7月の西日本豪雨で最も雨量が多かったのは高知県馬路村でした。72時間で1319.5ミリでした。

高知県の被害は死者2人です。広島の81人、岡山59人、愛媛26人に比べてはるかに少ないです。

朝日新聞社発行の雑誌『アエラ』の2018年7月14日の電子版でその理由について解説しています。

一時間の雨量が比較的少なかったこと、大雨の時の排水能力の向上を目指した河川の改修工事が進んでいること。

台風の常襲地帯なので県民の防災意識が高いこともあげています。基本はインフラ対策がいちばんということです。

箱根と比較して考えると箱根は全山国立公園なので管理が行き届いていることが挙げられます。

無理な開発はできません。近年大きな被害をもたらしている地域は急斜面で土砂崩れに襲われるケースが多いです。

それと天然の遊水地ともいえる芦ノ湖の存在もあります。大量の雨を受け止めてためることができます。

溢れても大洪水になるようなことはありません。徐々に溢れて行きます。遊水地と同じです。

もうひとつ静岡県裾野市に水を送る全長1280メートルの手掘りのトンネルが掘られています。深良用水です。

農業用水路ですが、大雨の時は排水路といっても良いのではないでしょうか。この機能は無視できません。

以上、挙げた三つの要素。開発規制と山林の管理、遊水地機能、それと排水施設が被害を防いだのではないでしょうか。

山間部や堤防沿いの開発は危険と隣り合わせです。開発した場合は危険との認識を持ち管理レベルを上げる必要があります。

大水が出た時に、一時的に水をためる遊水地としての機能を果たせる場所を求めることが被害を小さくします。

地権者の協力がなければなかなか設定は困難ですが平時の税金を軽減するとかして対応を図る必要があります。

堤防を人工的に切って二重堤防として切れ目から洪水の水を逆流させてため込むかすみ堤の再評価も考えるべきです。

江戸時代の治水技術ですが現代のように想定されないレベルの洪水が多発している時には有効です。

最後に排水管の設置です、。傾斜さえあればできます。人口密集地帯の大都市部を救うひとつのインフラだと思います。