時間雨量100ミリ時代への対応3
私が住む足柄平野を流れるのは神奈川県が管理する酒匂川です。上流部は静岡県が管理する鮎沢川です。
酒匂川は、日本有数の急流河川で山間部から平野に出る注ぎ口の南足柄市大口をはじめ治水の難所があります。
1707年12月(新暦)の富士山噴火の翌年の大洪水をはじめ足柄平野は度重なる水害に襲われてきました。
明治以降も昭和になっても戦後も続きました。しかし1964年の河川法の大改正では一級河川に指定されませんでした。
神奈川県内では東京都の境界を流れ台風19号による浸水が発生した多摩川、それと鶴見川、相模川の3河川でした。
私には七不思議に思えます。二つの県にまたがる急流で箱根や富士山という観光地を控え社会経済的にも重要だからです。
道路の方は東名高速大井松田インター、小田原厚木道路、西湘バイバスと高規格道路が揃っているのに首を傾げます。
1960年前半は、政界の実力者、河野一郎さんの全盛期で建設行政には大変な影響力を行使できたはずなのに…。
小田原市成田の河野邸のすぐそばには国道255号と小田原厚木道路のインターチェンジがあります。
西側には酒匂川が流れているのですが、道路の整備との落差があると言わざるを得ません。
山梨県には釜無川と御勅使(みだい)川がぶつかる治水の難所があります。武田信玄の信玄堤のところです。
酒匂川と同じような急流河川でかすみ堤という二重堤防もあります。酒匂川と同じ構造で治水が行われてます。
しかし、土手の上に立つと酒匂川との整備水準の差があまりに歴然としていて複雑な心境になります。
しかし、台風19号は、頑強な一級河川の堤防を決壊させました。長野県の千曲川をはじめ7河川12か所もです。
衝撃を受けました。酒匂川も一級河川にすれば整備水準が上がり安全度が格段に向上すると思ってました。
時間雨量100ミリ時代の対応としては一級河川化というのは確実に安全を担保するものではないことを示してます。
台風19号の被害を目の当たりにした今、一級河川化を目標とすることは意味を持たないと言って良いです。
前々回のブログで時間雨量100ミリ時代は、流域単位で治水のあり方の抜本的再検討が必要だと指摘しました。
国も県も地域自治体も住民も一体となってより安全な治水のあり方を本気で考えるということにほかなりません。
一級とか二級、国だ県だとかいう区別は卒業する必要があります。主たる担い手が国か県か程度の違いしかありません。
全体としてどうするかが問われているのです。国が今なすべき治水をめぐる議論は新たな流域管理のあり方です。
国と県と地域自治体と住民とがひとつのテーブルに着いて議論を始める時期に来ています。
日本のどこかの地域が、率先して手を挙げて時間雨量100ミリ時代に対応できる治水に挑戦することが求められてます。
酒匂川流域の市町が動き、手を挙げて欲しいです。酒匂川流域から新たな治水のモデルを発信して欲しいです。