私の平成史㊼~地方分権改革への意識の変化~

1990年代から2000年代一世をふうびした地方分権改革が国政の重要テーマから後退しました。

もちろんひとつのテーマとして掲げられ続けています。しかし、その影は格段に薄くなってしまっています。

大きな要因は、国の圧倒的存在感だと思います。国対地方の力関係が国の方に大きく傾いているのです。

2013年初頭に第二次安倍内閣が発足してからのことです。国が地方の政策をリードするようになりました。

人口減少・少子高齢化に対応する地域活性化の切り札として「特区」の活用を前面に押し出した影響だと見ます。

「特区」にしてもらい特別の助成を受けるようにするため自己主張を控え国の方針に順応する傾向が強まりました。

地方でできることは地方で行うという地方分権改革の精神は徐々にかすんでいったと言えます。

特に気になるのは、自らの役割を省みることなく国に依存しようとする態度がまん延していることです。

国の方も自らの指導力を発揮して存在感を際立てようとするので国依存の傾向が更に助長します。

千葉県は、9月から10月にかけて台風15号、19号、更に記録的集中豪雨という大災害に見舞われました。

千葉県の森田健作知事は、26日被災地上空をヘリコプターで視察し感想を述べました。

「国にはしっかりとした、根本的な指針を出していただきたい。県も指導を受けながら頑張っていきたい」と語りました。

この発言には、単独の市町村では担えない広域の大災害に対応することを任務とする県のトップの気概はありません。

言葉を詰まらせ被害の甚大さを嘆いたと報道されてます。それは知事の役目ではありません。

困難にほんろうされている県民を勇気づけ県自らが今やれることに全精力をつぎ込むことが使命です。

俳優出身の強みを活かして県の観光政策に取り組みたいと述べたとも伝えられます。

そうであるのならば口で言うだけでなく今すぐに行動することが求められています。

大災害の様な有事の際に本質は現れます。森田知事は、平時の盛り上げ役であることがはっきりしました。

困難に直面すると国に頼るということもわかりました。地方分権改革が大きく後退していることを感じました。

もし千葉県知事が橋下徹さんであったらどうであったかを想像してみて下さい。阿修羅のごとく騒いだはずです。

国におんぶにだっこではなく自らもできることを強引に進めたはずです。例えば災害のごみの処理です。

最新鋭のごみ焼却能力を備える都県と連携をとり早期に災害ごみをさばくようぶち上げたと思います。

橋下さんの様な動きをする首長がいないことが地方分権改革後退の象徴だと私には見えます。

橋下さんのやり方は賛否両論です。しかし国に一方的に依存するのではなく地域から国を動かす姿勢は一貫してます。

私は、2009年春から橋下さんら地方分権改革の”過激派”と接点を持つようになりグループの一員となりました。

当時の熱狂がとても懐かしく感じられます。地方分権会改革への熱が冷めている証でもあります。