ラグビー日本代表が教えてくれた多文化共生と和の精神
ラグビーワールドカップ2019が閉幕しました。ワールドラグビー協会も大絶賛の大会でした。
テレビで見た限りどの会場も多くの観客が席を埋めていて驚きました。決勝戦は7万人越えです。
チケット価格が高くてこれで本当に客が集まるのかと心配してましたが、全くの杞憂でした。
4年に一度の最高のプレーを見ようというファンの熱意の方がはるかに高かったようです。
今回のワールドカップは、大規模スポーツイベントが果たす役割を新たにしたと私は思います。
オリンピックに代表される大規模スポーツイベントは、開催国の国威発揚に重きを置いて開催されます。
発展途上国や旧共産系の諸国の場合は特にその傾向が強く打ち出されます。偉大なる国家のためということです。
今回のワールドカップは、この匂いが非常に薄いというかほぼなかったとの印象を持ちました。
それは日本代表チームの構成に大きな要因があると思います。いわゆる日本人のチームではありません。
出場選手で肌の黄色い日本人選手は半数に満たなかったです。白人や南太平洋出身の選手がずらりと並びました。
肌が黄色くてもスクラムを支えた3番の選手は韓国出身でした。率いたのはニュージーランド出身のリーチ選手です。
多文化共生の塊のようなチームでした。日本という国家を前面に出す条件にはなっていませんでした。
しかし、このチームが日本国民に対して発したのはワンチームの精神でした。チーム一丸の姿勢でした。
様々な出身の選手達が国籍は異なっていても日本国のためにひとつにまとまって快進撃を続けました。
その姿は日本中を熱狂させました。日本がスコットランドを破りベスト8進出を決めた瞬間の視聴率は5割越えでした。
年末の紅白歌合戦をしのぐ視聴率です。熱烈なる日本国民の反応であったことがわかります。
国威発揚の色合いは、ほぼなかったのにもかかわらず日本中を熱狂させたのはなぜでしょう。
私は、ラグビー日本代表がこれからの日本のあるべき針路を指し示す役割を果たしていたからだと思います。
多文化共生の日本代表の姿は、日本人の奥底に眠っていた日本人の和の精神を喚起したのではないでしょうか。
ワンチームとは表現を変えれば和です。互いの違いを認め合いながらひとつの目標に向かって前進すること。
これこそが本当の和であることを教えてくれたのです。和とは同調ではなく違いを認め合ったうえで調和するのです。
開成町の花、あじさいは、ひとひとひら花びらは微妙に違っていても全体としては美しく調和してます。
色はとりどりです。種類も豊富で日本原産、ヨーロッパで品種改良されたもの、北米原産のものまで多種多様です。
開成町のあじさいの里に行くと6月には水田のあぜ道を取り囲んで多種多様なあじさいが咲き誇ります。
異なるあじさいが全体としては調和をもたらしています。これぞ目指す世界の理想に思えます。
ラグビーワールドカップ日本代表は、こうしたあじさい型の地球社会を創造するための原点を示してくれました。