湯たんぽ

私の自宅の母屋は、築200年を超える農家の造りです。10年前までは、かやぶき屋根でした。

子供のころ、夏は涼しくて快適ですが冬はとても寒かったのを覚えています。隙間風が入ってきます。

なにせ1923年の関東大震災に耐えた建物ですのでゆがみが出てしまい完全にふさぐことができません。

昔の家ですので大黒柱は石の上に乗ってます。石がいわば免震の役目を果たし倒落を防ぐのです。

家の中心に沈み込みように家が傾き家屋の倒壊を防いでいます。その結果、雨戸や窓ガラス、ふすまに影響が出ます。

大工さんに土台を削ってもらったりして微妙に調整してもらわないとスムーズに開け閉めできません。

暖をなんでとっていたかというと大きな掘りごたつでした。囲炉裏だったとのことですが私は記憶にありません。

大きな土間があり、そこにへっついがあり薪を燃して朝ご飯を焚いてました。母親はとても早起きでした。

夕飯も一緒で薪の残りが暖の原料となります。おきといってました。炭を加えることもありました。

こたつに潜り込んでいるとぽかぽかしてきて眠くなってしまうことがしばしばでした。風邪を引くと叱られました。

父親が町長でしたのでしばしば人寄せがありました。石油ストーブが活躍し出して頃でした。

負けず劣らず活躍していたのが火鉢でした。大きな火鉢があちこちに置かれて手を当てて暖まってました。

夜眠るころになる前に母親がいつもお湯を沸かしてました。祖母の布団に湯たんぽを入れるためでした。

沸騰したお湯をブリキの湯たんぽに入れタオルでくるみ祖母の布団に毎晩入れていました。

年末にインフルに罹り正月明けまでダウンしていた時、なぜか湯たんぽのことを思い出しました。

湯たんぽを使ってみようと思い立ったのです。隔離されていたのは離れの2階で少し寒かったです。

エアコンを入れ過ぎてしまうとのどがカラカラになって逆に調子が悪くなるような気がしました。

湯たんぽを使ってみようとふと思ったのです。押し入れに湯たんぽをしまい込んであったのを思い出しました。

早速、引っ張り出して使ってみました。効果抜群でした。足裏や足元が暖まるとすぐに全身がぽかぽかになります。

身体の中で一番冷えているところが暖まり、温まった血液が全身をめぐるのですから当然のことです。

エアコンの設定温度は相当に下げても布団と毛布を掛けていれば全く問題になりません。節電になります。

際立った省エネ、健康術だと思いました。頭寒足熱を本当に安上がりで実現できるのですから。

断熱材がばっちり入っていて室内温度のコントロールも自在の現代の住宅に住んでいる方には理解できないかもしれません。

日本の気候は湿気が多く快適に過ごすためには住まいは開放的でなくてはなりませんでした。

一方、冬の寒さに耐えるためには、きめ細かな工夫を組み合わせてしのいでいたと言えます。

きめ細かさの部分は今も応用できるところがあります。両者を組み合わせれば効率的な暖の取り方になりそうです。