日本共産党が提唱する野党連合政権協議のための条件
報道によりますと日本共産党がこのほど党大会を開いてふたつの重大な問題提起をしました。
ひとつは中国の習近平政権が押し進めている外交路線を中国指導部の誤りは極めて深刻だとして厳しく批判しました。
習近平政権に対し正面切ってこれだけ激しい言葉で批判するのは、各党の中で共産党だけです。
もうひとつはこれまで進めてきた野党の選挙協力をもう一段進めて野党連合政権を目指す姿勢を鮮明にしたことです。
次の衆議院選挙を野党連合政権に向けて道を開くものとし共通の政策を策定することを目指すことを表明しました。
共産党としては思い切った決断です。それだけ党勢の弱体化が進んでいることへの危機感の表れだと思います。
但し実現性があるかどうかは別の問題です。共産党アレルギーの強い国民民主党の存在があります。
但し、この問題は、これまでも指摘されてきた日本国内の野党の連携だけの問題であって本質ではありません。
最も重大なのは共産党が提示した外交路線は果たして現実味を帯びているのかどうかという点です。
共産党は日米同盟路線に異議申し立てをして日米安保条約を廃棄することを視野に入れてます。
いわば反米路線です。そして今度はもうひとつの台頭する中国に対してもけんかを吹っ掛けた格好です。
アメリカを敵にして中国ともけんかするという現実が仮に訪れたとするとそれは日本にとって望ましいかどうかです。
アメリカを敵にする路線への転換については近隣アジア諸国にとっては不安定性が増し批判が高まります。
中国を名指しで批判することは偉大なる中華民族の復興を掲げる習近平主席の虎の尾を踏む行為です。
ロシアと手を組んで日本外交を構築するのかとなりますが平和条約すら締結していないのですから荒唐無稽です。
共産党は、野党連合政権を目指すと明言したのですから連合政権を組む相手と共通認識を持たなければ始まりません。
全く現実味のない政策を飲めということは不可能なことなので、現実味のあるものへと洗練化させなければなりません。
現在の様なアメリカ、中国双方へ敵対的な姿勢一辺倒では、机上の空論に陥ると思えてなりません。
危なっかしい道は大半の国民が支持しません。国民は安定を最優先に考えるに決まっています。
中国とけんかするのならばアメリカとの関係を良好にしなければならないことはバランスからして当然です。
共産党が対アメリカ関係においても変身があればそれは野党間の共通理解へと大きく前進させることでしょう。
ズバリ日米安保の容認です。その上で過剰な基地負担やアメリカの戦略に引きずられることへブレーキをかける路線です。
一方、中国に対して物言うにしても、外交路線に対し覇権主義だと批判することだけでは足りません。
現代の共産主義は、人権や政治的自由、民主主義を堅持するという姿勢を明示し発せられなければなりません。
対米路線の大転換と人権、自由と民主主義の尊重、このふたつが明確になるならば野党連合政権協議は協議の土台となります。