台湾の民主主義の強じんさの秘密を探る3
台湾の民主主義を考えるシリーズ最終回は、台湾が中国を逆に飲み込むのではないかという私の見立てを述べます。
何をバカなことを言っているのかと一笑に付される読者の方が恐らく大勢いられるでしょう。
台湾の国土面積36000平方キロ、中国960万平方キロ。台湾の人口2360万人、中国14億人。
2018年のデータで台湾の名目国内生産高は、5890億ドルです。中国は、13兆3700億ドルです。
一人当たりのGDPを除きどの数字をとっても中国が圧倒しています。軍事力も国力、経済力に比例します。
こうした状況下でどうして台湾が中国を飲み込めるというのかと誰もが疑問を持つのは当然です。
私は、台湾の実力を物量的な数字とは異なる次元で評価しています。数字に囚われたい視点です。
それは台湾の政治です。政治的自由と民主主義を基調とする台湾の政治の進歩の度合いは、中国を凌駕しています。
中国の圧力に屈することなく正当な選挙を通じて民意を堂々と表明する台湾の政治の強じんさは筋金入りです。
若者がどんどん政治に飛び込んで行ってますので近未来に突如として形骸化することは考えられません。
一方中国はというと極端な情報統制を敷いて国民に真実を明らかにせず共産党による一党独裁体制を堅持してます。
台湾と中国、どちらが民度の高いレベルの政治を行っているか、比較するのもバカらしいほどです。
この事態は中国にとって深く憂慮する事態です。情報統制を緩めれば国境を超えて情報が流れ込みます。
同じ中華民族とみなし中国の固有の領土で統一するのを当然視していた国の政治の方ははるかかなたに進化しているのです。
民主主義に背を向けている遅れた国とは一緒になりたくないと台湾から言われたら中国国民はどう出るでしょうか。
島国が何を言うかと怒るのか、台湾の政治的自由と民主主義をうらやましく思うかの選択です。
私は後者だと思います。中国も経済的な余裕が出てくれば当然のごとく自由と民主主義を求めると思うからです。
この流れを押しとどめるのは不可能だと思います。人間の本性に根差すものだからです。
意見を自由に表明したいのは当たり前です。自らの意見の尊重を求めるのもこれまた当然だと思います。
かくして巨大国家中国の方が、小国台湾の政治的自由と民主主義の政治を使用せざるを得ない可能性は大いにあるのです。
今後、台湾が一挙に独立するなどという先鋭化した軽挙妄動でもしない限り台湾が揺らぐことはないでしょう。
中国が固有の領土としている台湾はもはや幻想であり、台湾は事実上一つの民主国家としての存在感を確立しています。
苦しいのはむしろ世界第2の経済帝国としてのし上がった中国大陸の方だとも言えると思います。
10年、20年、30年…。時間の経過とともに中国大陸に自由と民主主義は浸透し体制を揺るがすと思います。
日本は、台湾の民主主義の強じんさを見誤ることなく正しく評価し台湾との関係強化を考える必要があります。