私の平成史70~教えることは学ぶこと3~

最近の大学生は大人しいと言われます。実際にそう感じます。それとキャンパスがきれいなことには驚きます。

私より少し上の世代の皆さんが今大学を訪れたら同じ場所かと思うに決まっています。立て看などどこにもありません。

学生運動華やかなりしころには大学の入り口は学生運動家たちによる独特の字体の立て看が乱立してたはずです。

新左翼の活動家たちが街頭演説してました。こちらも独特の言い回しでした。当たり前の光景だったはずです。

私が大学に入った1975年になると学生運動はだいぶ収まり静けさを取り戻していました。

それでも学内で内ゲバと呼ばれた学生運動家たちの内部抗争があり異様さを見せる時もありました。

2014年4月から神奈川大学法学部の非常勤講師となりました。現在も続けています。

2015年4月から4年間日本大学総合科学研究所の教授となり危機管理学部で学生に教える機会がありました。

大学生はまじめです。きちんと講義に出席する学生が多いです。自分自身の体験からすると新鮮でした。

私は大学に入ったとたんに講義は適当にさぼり自分の関心のあることのみに集中していました。

ジャーナリストになることが目標でしたのでそうした関係の勉強だけはしてあとはさぼってました。

現在の学生はこうしたスタイルはとりません。いそいそと教室を回り欠かさず講義を受けているように見受けられます。

一般的には15回講義があります。私のころは先生たちも極めていい加減で休講はしょっちゅうでした。

現在は、違います。休校ばかりしていると保護者から文句が来るという話しもあるほど厳格です。

15回分授業力を支払っているのに理由もなくさぼるのはけしからんというのが理由だと聞いたことがあります。

時代の変遷を強く感じました。授業料が高いのがひとつの理由だと思います。驚くほど高いです。

私のころは国立大学ですが一年間の授業料は3万6千円でした。それでも高いとストライキが起きてました。

現在の国立大学の授業料は50万円を超えてます。初年度は入学料もとられて80万円ほどです。

首都圏の私立大学ですと文科系の学部でも初年度の納入金は、おおよそ100数十万円です。

医学部や歯学部、芸術系の学部となると異次元の世界です。下宿したらさらにお金がかさみます。

子供が3人いて全員大学生となると保護者の経済的な負担は相当なもので暮らしていけません。

これだけお金がかかっていると学生も真面目にならざるを得ません。保護者に負担をかけているのですから。

講義に出ずに遊んでいるなんて背信行為になるのだと想像します。学生たちの気持ちがわかります。

社会の矛盾に目覚めて学生運動をするなんてこともできないでしょう。矛盾を感じても運動する余裕がありません。

学生たちはアルバイトしているのが一般的です。学費が高いので足しにせざるを得ないでしょう。

学生たちの生態を外から見て単におとなしいと結論付けるのは早計です。時代状況がそうさせていると見るべきです。