SARSと新型インフルエンザの流行から何を学んだか1

おとといのブログは、文章の乱れがあり大変失礼しました。読者から指摘をいただき慌てて修正しました。

原因は明らかです。いつもよりだいぶ早く「じいじはいる?」という声が聞こえたからです。

孫君が来ると落ち着いて文章は書けません。引っ張り込まれてしまいます。可愛い侵入者なのです。

本棚の片隅に眠っていた岩波新書を2冊見つけました。目下の緊急課題である感染症についてです。

いずれもそのものずばりのタイトルです。一冊は『感染症とたたかう』、もう一冊は『パンデミックとたたかう』です。

前者が2003年12月、後者が、2009年11月の刊行です。開成町長時代に読んでいたことになります。

2003年は、SARS=重症急性呼吸器症候群、2009年は、新型インフルエンザの流行がありました。

緊急事態はいつ起こるかわからないので自治体のトップとして基礎的な知識を得ようとしたのだと思います。

しかし喉元過ぎれば熱さを忘れるではありませんが本を購入したこと自体もすっかり忘れていました。

この手の重要課題は、常に危機意識を高めておかないといざという時には役に立たないのだと痛感しました。

私の場合は、職責を離れていて気軽な立場ですので昔話で済みますが現役の自治体トップの方々はそうはいきません。

新型コロナウィルス対応に際し21世紀に発生した新型の感染症の基礎知識は得ていて方が良いと思います。

『感染症とたたかう』は、WHO=国際保健機関で実際にSARSと格闘した体験を持つ医師が著者のひとりです。

『パンデミックとたたかう』は新型コロナウィルス問題でしばしばテレビに登場する医師がインタビューに答えてます。

両著書に共通する問題意識は中国の感染症対策に対する不信感というか懸念が明確に示されていることです。

ひとことで言えば情報を隠す中国政府当局の姿勢を感染症対策の重大問題だと指摘してます。

『感染症とたたかう』では、WHOの一員として中国に入り当局と交渉した体験を持つだけに記述が率直です。

2002年11月段階で中国広東省で原因不明の肺炎が発生し翌年の2月からは多数の死者が出ているとの情報がありました。

しかし確認ができません。中国当局から詳細な説明がなかったからです。2月14日になって初めて認めました。

患者数は305人で死亡者5人とのことでした。原因はクラミジアという細菌ですでに鎮静化しているとの発表でした。

こうした中で2003年1月下旬に香港在住の家族が中国・福建省に帰省して8歳の子供が肺炎で死亡しました。

香港に戻りましたが父親も肺炎で死亡しました。WHOは、新型の感染症を疑い中国に調査団の受け入れを求めました。

中国は拒否し交渉は難航しました。結果的にはこの時に中国国内で院内感染が発生していました。

初期段階で情報が開示されなかったことが世界に感染を拡大させてしまったことは明らかでした。

今回の新型コロナをめぐる初期段階での状況と似ています。歴史の教訓は活かされていませんでした。