新型コロナウィルス危機、地域力が問われてます

昨晩夜9時からのNHKスペシャル「新型コロナウィルスとの瀬戸際の攻防~感染拡大阻止最前線からの報告」を見ました。

あっという間の1時間でした。瀬戸際という言葉が決して大げさではなく行き詰る攻防が展開されてました。

先週私がブログで紹介した岩波新書『パンデミックとたたかう』の著者、東北大学大学院教授の押谷仁さんが出演してました。

押谷さんが番組の最後に重要な言葉を発していました。「地域力が問われている」ということです。

地域の行政をはじめとする関係各機関が力を合わせて新型コロナウィルス危機にどう対応するかです。

押谷さんは「国の指示がないから」などといって手をこまねいていては手遅れになると警告していました。

望ましいのは国が基本的大方針を示すとともに財源の保障を明言し、それに基づいて各都道府県が対応することです。

地域によって実情が大きく異なりますので具体の政策の腕を振るう中心は都道府県となります。

その上でより具体的なきめ細かな施策の展開は市町村がリードすることとなります。

こうした役割分担が確立していれば新型コロナウィルスとの戦いに光明が差してきますが現状はそうなっていません。

市町村、とりわけ小さな市町村は何をしてい良いのか暗中模索が始まっていると推測されます。

こうした中であ然とする対応をとった町があります。温泉観光地として知られる神奈川県湯河原町です。

先週9日の臨時議会で宿泊のお座敷券に400万円、宿泊キャンペーンに600万円の補正予算を認めたというのです。

町の方針に対し3月の町議会議員選挙で初当選した4人の新人議員が異議申し立てをしました。

断トツのトップ当選を果たした土屋由希子さんが反対討論をしましました。タイミングを完全に間違えていると主張しました。

お座敷券とは芸者さんを呼んで宿泊客が飲食することです。誰が考えてもいわゆる「三つの密」そのものです。

新型コロナウィルスを逆にまん延させてしまうリスクがある対応策を今この時点で予算を付ける必要があるかということです。

土屋由希子さんは反対討論の中でこのような施策は終息後の対応策であって今ではないと訴えました。

観光客の激減で困っている方々の生活保障や学校に行けない子供たちのための対策に知恵を絞るべきだと提案しました。

採決の結果は、町の方針に賛成が9人で反対が4人の賛成多数で補正予算は成立したということです。

結果に驚きました。富田町長はどうしてしまったのでしょうか。常識では考えられません。

明らかに首を傾げざるを得ない町の方針に賛同する議員の方が圧倒的だという事実にも目もむきました。

唯一の希望は土屋由希子さんを始め新人議員4人が勇気を奮って初の議会で堂々と意思表示したことです。

湯河原町の時期を誤った対応は、新型コロナウィルスの猛威に対する危機感の欠如そのものだと思います。

おざなりの対応策では阻止できないところまで追い込まれている厳しい現実を直視して欲しいです。