新型コロナウィルス対応の政治学3

2012年暮れの衆議院選挙で自民党が圧勝し3年4か月ぶりに政権復帰を果たしました。

翌年1月に第2次安倍政権が誕生してから7年3か月の長期政権となり「安倍一強時代」と評されてます。

しかし、グローバル時代をまさに象徴する新型コロナウィルスの脅威に直面しその強さに疑問符がつき出してます。

緊急事態宣言を出すタイミングをはじめとする安倍政権の対応には「強さ」より「脆弱さ」を感じてなりません。

突如として学校の一斉休校の強硬措置をとったかと思えば緊急事態宣言は遅いように感じました。

目玉の対応策のひとつとしてすべての世帯に2枚マスクを配布します。自粛要請に対し休業補償はありません。

一貫したき然とした姿勢が見えません。ちぐはぐな対応が続き感染阻止できそうだとの社会心理が働きません。

私ひとりが感じている思いではありません。世論調査にも国民の戸惑いが如実に表れています。

NHKの世論調査では緊急事態宣言が遅すぎたと感じている人の割合は、75パーセントに達しています。

ちょうど50パーセントの人が対応について否定的な評価で、肯定的な評価の46パーセントを上回ってます。

安倍内閣の支持率は甚割と下がり40パーセントを割って39パーセント支持しないの38パーセントと拮抗しました。

感染拡大が続き緊急事態が長期化すればこの傾向は更に強まります。安倍総理も危機感を感じていることと思います。

私は問題の根本にあるのは対応の基本方針にあるとにらんでいます。対応の責任者は西村経済再生担当大臣です。

医療をつかさどる厚生労働大臣ではなく経済再生分野の責任者を対応の前面に立たせました。

感染拡大阻止と経済への影響の最小化という二兎を追う戦略をとる中で経済の方に重心が傾いているといえそうです。

西村大臣が有能でも強い施策を断行するには若く経験不足です。特に財務省を説得できる剛腕は期待できません。

本来ならば剛腕の大物閣僚が前面に出てにらみを利かすはずです。番頭役の菅官房長官が適任です。

現実はそうなっていません。この人事に強い政策を断行できない根本問題が潜んでいるように見えます。

日本国の存在自体が危うくなっている異次元の緊急事態に直面しているのに対し総力結集となっていません。

閣僚の中に誰一人として安倍総理に異を唱えるひとはいません。緊急事態なのですから激論があっても良いです。

激論の上で最終的に総理大臣がひとつの方向にまとめて始めて力強い政策展開が期待できます。

梶山静六さん、野中広務さん、亀井静香さんといったタイプの捨て身の剛腕政治家がいないのが残念でなりません。

梶山さん、野中さん、亀井さんならば間違いなく休業補償をすべきだと大暴れします。財務省に真っ向勝負します。

3人ともに落としどころを睨んでます。最終的に総理の踊り場を見つけて国民が納得できる方向を打ち出します。

大向こうをうならす対応は全く期待できません。どっちつかずであいまいです。取り返しがつかなくなると懸念してます。