新型コロナウィルス対応の政治学4

政治家らしい決断ができる人が激減し絶滅危惧種となりつつある中で存在感を示しているのは自民党の二階幹事長です。

安倍総理と会談して人との接触を8割削減なんてできっこないといったりして聞いた人を驚かせます。

こういった芸当ができるかどうかが政治家の力量を測る最初の指標となります。常識的な発言ではダメです。

自民党所属国会議員の歳費の削減にすぐに言及し他党にも呼び掛けるとの発言を続けてしています。

この辺りが政治家の直感です。国民が何を求めているのか動物的カンで見抜くのでしょう。野党議員より素早いです。

ただ、全国民に10万円を配布するというプランには首を傾げます。人との接触を劇的に減らす手段ではありません。

二階幹事長ならば自粛要請で収入が激減する職種の所得を原則として保証すると言い切って欲しいです。

安倍総理がもたもたしているのならば自民党の方で政策を立案するぞと追い打ちをかけて欲しかったです。

二階幹事長そこまではいきません。場合によっては差し違えるという気迫が感じられないのが残念です。

私は秘書から今日の地位を占めるようになったキャリアが影響しているように見えてなりません。

親分に反逆してもなすべきことをするという行動を避け、忠誠の方に回るパターンが身に染みていると思います。

一方野党側に目を転じてみると今日の危機的状況を打ち破る力量を持っている政治家は誰でしょう。

私は共産党の志位委員長がいちばんだと思います。他の野党党首はレベルに達していません。

ちくちくか言いたい放題か、あるいは大人しくかは別にして反対だけを唱えていて幅が感じられません。

共産党だって反対ばかりじゃないかと思うかもしれませんが最近の共産党の大胆さを見誤ってはなりません。

中国の習近平国家主席を国賓として招待する準備が進んでいるさなかに中国の覇権主義的行動を堂々と批判しました。

自民党の党内には反中国の声が渦巻いています。しかし政府方針に真っ向から反対し待ったをかける政治家はいません。

共産党は今年1月の党大会で綱領まで変えて中国の姿勢を非難したのです。大胆不敵な方針転換です。

新型コロナウィルス対応でも最初から自粛要請と所得補償のセット論を単純明快に展開していました。

志位委員長の政治家としての力量には一目置かざるを得ません。しかし共産党という限界があります。

共産党のトップを日本のリーダーとして抱える時代を見通すためにはとてつもなく高いハードルを越えなくてはなりません。

任せても大丈夫だという国民的安心感の醸成に長い年月が必要で事実上不可能と言って良いでしょう。

政権与党に決定的な指導力を発揮する人材が見当たらず野党にはいてもトップに座ることはできないという状況です。

新型コロナウィルス対応という国難に直面している日本にとって悲劇的な状況にあるといって良いです。

日本としてどう乗り切るのかは際立って困難な課題だという事実だけがそびえたっているように見えます。