新型コロナウィルス対応の政治学7

新型コロナウィルス対応は、見えない敵との戦争であると安倍総理をはじめ関係者は口にしています。

戦争を遂行するためには、まず大戦略がなければなりません。日本の場合は二兎を追う路線です。

経済的な打撃をできる限り小さくしながら新型コロナウィルスを封じ込めるというものです。

経済的な影響を度外視する都市封鎖のような戦術はとらないということです。マイルドなやり方です。

強制力を伴わなくても所期の目的を達成できると考えた自信の背景には日本人の国民性に対する認識があると思います。

マイルドな要請であっても日本人は政府の方針に従順であって効果を発揮できるというものです。

しかし、従順とはいえ促すための手段なしでは目的の達成は困難という程度の考えはありました。

但し従順だという大前提がありますので誘導するための手段、アメは余り用いないで済むと思っていたはずです。

休業要請に対する所得補償はなく、国民に対する生活保障は一部の困窮者に限定しようとしました。

私に言わせれば、現代における欲しがりません勝つまでは路線と総称できると思います。

こうした路線選択をする原動力は財務省の圧力です。財政難の中で財政支出を抑えることを眼目にしてます。

当初のシナリオに沿って緊急事態宣言を発しました。しかし、なかなか効果を発揮できません。

そもそも論として宣言が遅すぎました。財政当局の抵抗で戦術内容の確定に手間取ったからだと思います。

大きな読み違いがあったのです。現代の日本人は戦時中の日本人ほど従順ではないのです。

かつてのように、あるいは現代の中国のように言論統制が徹底している訳ではありません。

様々な情報が入り乱れる中で政府の方針に唯々諾々と従うと考えるのは余りに楽観的過ぎました。

本来あるべき戦術は、衣食足って礼節を知る路線でした。十分な所得補償が大前提であったのです。

3つの密を避けるために関係業者に休業を求めながら補償はしないでは話しが通る訳がありません。

更にきついお達しがありました。できれば8割人との接触を減らして欲しいというものでした。

補償がないまま欲しがりませんは勝つまで路線を逆に強化したのです。混乱が生じました。

参謀本部のトップである安倍総理は慌て出しました。突如としてアメのバラマキを決断しました。

全く条件なしに国民一人に10万円を配布するというものです。何を実現したいのでしょうか。

3つの密を避けたいのでしょうか。それとも人との接触を減らしたいのでしょうか。見えません。

10万円と3つの密は無関係です。場合によってはお金が入ったと飲みに行く人もあり得る選択です。

安倍総理は、新型コロナウィルス対応に対する批判の高まりに恐れをなし、その場しのぎをしたように見えます。

いよいよ経済と新型コロナウィルスの封じ込めという二兎を追う路線は実現が危ぶまれてきました。

原点回帰が必要です。3つの密を避けるために政府の責任で休業補償を徹底し感染リスクを減らすことだと思います。