新型コロナウィルス対応の政治学11

予算の組み替えによる国民への一律10万円の給付ということで決着した今回の措置は小さな革命に思えてきました。

最終段階は、既に述べたように公明党の山口代表が自らの首をかけて安倍総理に直談判することで決まりました。

共倒れになると安倍総理にったとNHKが報じました。表面的には権力維持のための行動に聞こえます。

話はそう単純ではなく公明党支持層からの突き上げがあったことにもっと注目しなければなりません。

公明党支持層は低所得階層が多いといわれます。そうした人たちの悲痛な声が党幹部を揺さぶる原動力になったと見れます。

公明党と公明党支持層で起きた小さな革命が連立政権の相手方である自民党に波及していったと捉えた方が正確かもしれません。

自民党の方では一律給付の動きがなかったかというとそうではありません。二階幹事長はほのめかしてました。

ただし条件付きの30万円給付の予算を成立させたのちの次の一手として考えていたとNHKは報じました。

切迫感が公明党ほどなかったといえます。しかし、一律給付の考え方自体は自民党内に存在していました。

「日本の尊厳と国益を守る会」という名前の議員グループがあります。戦前回帰を想起させるような名前です。

皇位継承の安定、外国資本による土地の買収拡大の阻止、スパイ防止法の制定を掲げています。

男系による皇位継承という保守派の主張、反中国、反韓国といったタカ派的主張を前面に押し出しています。

50人を超える自民党内のこのグループは国民に対する一律10万円給付を主張していました。

それだけではありません。消費税の減税と最終的には廃止も主張していたのです。知りませんでした。

存在を知ったのは、10万円一律給付が決まった後でした。知人から教えてもらいました。

自民党内に大衆の怒りをくみ上げ大転換を目指す集団が生まれていたことを知り革命のほのかなにおいを感じました。

二階幹事長はこの集団の動きもにらみながら一律10万円の給付のアドバルーンを上げていたのではないでしょうか。

日本の尊厳と国益を守る会の主張は山本太郎さんが率いるれいわ新選組の消費税廃止論と重なる部分があります。

右と左の双方から現在の日本の政治を根本から覆そうとする胎動が始まっていると見てとれないこともありません。

国民への一律10万円給付は、これから始まる日本革命への序章である可能性があると私は判断します。

大衆の空気をかぎ取って安倍総理に詰め寄ったのが公明党、いち早くうごめいていたのが自民党の議員グループでした。

これとは別に消費税廃止論を掲げ勢力を伸ばしつつある令和新選組があるという構図です。

当面はこの3つの勢力の今後の動向が注目されます。過激さから言えば令和新選組がいちばんでしょう。

消費税の減税と全廃を目指した言動は待ったなしの新型コロナウィルス対応と密接にリンクしてくると思います。

自民党側の底流にもそして自民党の連立相手の公明党にも潜在的な支持者がいるのですから侮れません。