新型コロナウィルス対応の政治学14

二宮尊徳はイメージと実像がかい離しています。たきぎを背負って読書する銅像の印象が強すぎます。

戦前の日本はそうした困難に耐えて頑張るイメージを理想的人物へと祭り上げてとけん伝しました。

戦後は、軍国主義への嫌悪感があり逆に二宮尊徳はその象徴と見る向きが強まり現在も残っています。

ご本人は苦笑いしていることでしょう。本当の生き様を直視することなしに勝手に解釈しないでくれよと。

そうこうしているうちに時代が二宮尊徳の実像を見つめ直すよう求めてきました。新型コロナウィルス危機がそうさせてます。

江戸時代の末に全国各地の600もの農村の疲弊した再興に誠心誠意努めた二宮尊徳の気概と実践が役立つ時代になりました。

二宮尊徳の生まれ故郷の小田原市の加藤憲一市長が記者会見し新型コロナウィルス対応と二宮尊徳を結び付けました。

飢饉に襲われて難渋している小田原藩の民衆を救うために米蔵を開けさせた事件を引き合いに出しました。

1830年代の後半小田原地方は大凶作に襲われて危機に直面しました。藩は重い腰を上げようとしませんでした。

江戸から駆け付けた二宮尊徳は版の役人を一喝しました。その結果お蔵米千俵を下げ渡すことを決議しました。

加藤市長はこの史実を新型コロナウィルス対応と結びつけて「今こそ蔵を開ける時だ」と発表しました。

対策基金として7億円を積みその他の対策と合わせて12億円規模の緊急対策を発表しました。

普段は慎重な姿勢が目立つ加藤市長が積極果敢な姿勢に転じ対処しようとしている姿勢に敬意を表します。

ただし二宮尊徳は口で言うだけではなく確実に実践したことが真骨頂の人物であることを忘れて欲しくありません。

いざ実際に対応策を進めようとすると役人は前例がないということで腰が引けることも多々あることでしょう。

そこは加藤市長の気概と指導力で突破することがいちばんの肝であることを片時も忘れないで欲しいです。

そうした対応をとってこそ二宮尊徳を引き合いに出した意味があります。今後の実践を注視したいです。

二宮尊徳は際立って現実的な偉人です。まずは先立つものを用意することに傾注して危機に臨みました。

政府の方も予算を組み替えているのですから小田原市も先陣切って予算の組み替えに進んで欲しいです。

少なくとも夏までのイベントの実施な難しいです。この予算の執行を止めて緊急対策財源に組み入れるべきだと思います。

そのほか不要不急の事業は全て止めて緊急事態のための特別予算へと組み換えが急がれます。

同時進行で困難に直面している市民からのヒアリングを通じてのスピード感あふれる対応が期待されます。

医療現場や教育現場の人手不足を解消するための緊急雇用は、今すぐにでも全面展開して欲しいです。

看護師や教員で職から離れた方々を市として臨時に雇用して人手不足を補うことは緊急対策のひとつです。

もちろん小田原市独自の休業支援も考えられます。国や県の動きを待つことなしに手を打って欲しいです。