新型コロナウィルス対応の政治学19

国会審議を見ていて安倍総理の答弁、大変に多弁ではありますが、どことなく頼りなさげに私には見えます。

不安感がありおどおどしているような影があります。皆さんはどのように見られていますか。

安倍一強時代といわれる評価に相応しい総理の姿ではありません。き然たるところがありません。

突如降って湧いた9月入学をめぐる論議への対応に私は安倍総理に自信のなさが垣間見えます。

確実にいつ収束するのか見通せません。安倍総理自身正直に語っています。その不安感が隙を作ります。

9月入学で新学期という一大制度改革を実施するには相当の準備が不可欠であることは自明です。

2年後、3年後に実施するのでそれまでの間に入念な準備をしようとしてもそれでも不備が生じるぐらいの制度改革です。

新型コロナウィルス騒動で国家100年の計といわれる教育制度の大改革を泥縄式にやってはなりません。

そもそも言い出しっぺの知事さんたちは公立高校しか現場を持っていません。公立の幼稚園小学校中学校は市町村です。

知事が全ての権限を握っているかのように一大制度改革を勝手に提言できるのでしょうか。

私が現職の町長であったら図に乗るなとどやしつけに行ったはずです。市町村の教育現場は大混乱です。

知事は国と市町村の間に挟まった中2階的存在で現場を持っていないので勝手なことを言えるところがあります。

今回の騒動はその典型だと思います。総理は貴重な提案だが今は議論の時期ではないと明言すべきです。

騒動が好きなマスコミがはやし立てますので現場並びに保護者に不安感を与えてしまいます。

9月になると早合点してこれから4か月どうすれば良いのかなどといらぬ不安感が増殖しかねません。

議論を鎮めて今なすべき対応に全精力を集中させることが国を始めとする行政に求められています。

国民の不安感の最たるものはこのままでは日本経済の底が割れてしまい事業や生活ができなくなるのではというものです。

この不安感を解消するには国として現ナマを積むのがいちばんです。国民ひとり10万円は序の口です。

国会審議で国民民主党の玉木代表が3つの密ならぬ3つの100を安倍総理に提言していました。

新型コロナ対応資金として100兆円を、期間100年のコロナ国債で調達し100日間で決着をつけるというものでした。

私は傾聴に値すると思いました。しかし安倍総理は残念ながら評価する立場にないと逃げました。

安倍総理が肚をくくり身を捨てて対応に当たっているのであれば一考に値すると言ってのけたでしょう。

財務省の反対がチラつけば答弁は無難になります。安倍総理の覚悟のほどが見えた気がしました。

経済はお金が回って初めて成り立ちます。無理やり止めているのですから人間で言えば死を招きます。

循環を止めないようにするということがはっきりすれば一時の間は静止しようとなります。

そこがあやふやだと不安感のみが増大してしまい所期の効果は得られません。ズルズルと行く恐れがあります。