新型コロナウィルス対応の政治学20

危機に直面すると平時には見えなかった本質が鮮明になってきます。新型コロナウィルスはそうした作用をもたらしてます。

政治リーダーたちの本質があからさまになってきていると私には思います。小池都知事はその典型です。

東京都は、小池知事が出演して、毎夕、インターネットで動画配信をして感染者数を発表して注意喚起してます。

その模様の一部をNHKニュースが生で報道しています。昨夕、NHKニュースでその番組を見ました。

小池都知事がアルピニストの野口健さんにインタビューしていました。野口さんは自宅からの出演でした。

本来ならばエベレスト登山の予定でしたがネパール政府が入山禁止措置をとったとり断念したとのことでした。

諸事情があっても自宅で”ステイホーム”して耐えていることを都民に訴えたいのだと思いました。

ニュースキャスター出身の小池都知事は、こうしたスタイルに強いこだわりがあるのだろうと推測します。

小池都知事も立憲民主党の枝野代表と同じく細川護熙さんが率いた日本新党にルーツを持ちます。

1992年の夏の参議院選挙で日本新党が初めて4議席を得た時のひとりです。看板となった女性候補でした。

テレビ東京系のワールドビジネスサテライトのニュースキャスターから政治家への転身でした。

小池都知事は「女子大生の人気職業ナンバーワンともいわれるキャスターから立候補するのは相当悩んだ」と振り返ってます。

『日本新党変革の記録』という著書の中でです。小池都知事の当時の自己紹介にはたまげました。

家族について「今は独身よチュッ!!」と書いてます。好きなタイプは郷ひろみということでした。

キャスターは報道の最前線に位置しますが実践の現場ではありません。他者が行っていることをさばく立場です。

キャスターと政治家の本質的な違いは前者は第三者的で後者はより当事者に近いということになります。

キャスター出身の政治家が陥りがちな落とし穴は自ら飛び込まなくてはならない時に状況を見てしまうことだと思います。

テレビに毎日のように出ていた者としては当然ですが自分がどう見えるかということにもこだわりを持ちます。

どこか他人事で見栄えを気にかける、小池都知事の立ち振る舞いを見ているとそうした感慨を私は持ちます。

順調に事態が進んでいる時は華々しさをより見せつける演出ができますが、逆風にさらされ出すとそうはいきません。

焦って無理な手を打ちます。大阪府の吉村知事と一緒に9月入学の共同声明を発表したのはそうした一手だと思います。

なかなか事態の収束が見えない中で何か目立つ施策をアピールしたいとの欲望が顔を出したのではないでしょうか。

この手のアドバルーンをたしなめてこそ本物の政治家です。目立つことに走るのは邪道です。

東京都知事は、新型コロナウィルス対応が上手く行くのかどうかカギを握っている位置にあります。

小池都知事は、キャスター色をかなぐり捨てて泥まみれになるしかありません。厳しい局面を迎えていると思います。