新型コロナウィルス対応の政治学23
日本の近代が外圧によって始まったことは言うまでもありません。アメリカのペリー艦隊の1853年の浦賀来航です。
欧米の列強が日本に開国を迫りついに日本はグローバル社会の荒波の中に自らを投げ出すことになりました。
明治の元勲たちがすごかったのは国家体制を一新させて外国の植民地とならないよう踏み止まったことです。
今再び明治維新の時のように国家の基本を改めなければならないような大きな国際情勢の変化が起きようとしてます。
新型コロナウィルスが国際情勢の変化を一気に加速させることは間違いないと見られます。
21世紀に入ってからの国際情勢の基調は超大国アメリカの揺らぎと中国の国力の強大化です。
新型コロナウィルスは中国が発生源でありますがいち早く脅威から脱して逆に世界を支援する立場になりました。
一方アメリカは世界最大の感染者数となりいまだ収束のめどが完全に立ってはいません。
中国は徹底した情報統制と強権によって有無を言わさない措置によって新型コロナウィルスを封じ込めました。
民主主義国のアメリカはそうはいきません。職を失い困窮する国民たちは黙っていません。
結果的に対応が遅れ国全体を収束に持って行くことに時間がかからざるを得ません。
アメリカの立ち直りに時間がかかればかかるほど中国の立場はより有利なものになっていきます。
中国の習近平政権は今月末に全人代を開催し体制が盤石であることをことさらに誇示することでしょう。
アメリカの方は11月に大統領選挙を控えています。来年からのかじ取り役が誰になるのか不透明です。
こうした国際環境の中で米中両国は、新型コロナウィルス対応をめぐって火花を散らしています。
トランプ大統領は中国・武漢が発生地である決定的な証拠を公表すると発表しました。
中国は証明はできないと否定していますが大統領選をにらんでトランプ大統領は強硬姿勢をとり続けるでしょう。
両国の対立のはざまに日本は置かれています。これからずっとこうした状況が続くものと予想されます。
日本の立ち位置が厳しく問われることになるのです。日本にとっては一大事だといえます。
アメリカについていけばよいというほど話は単純ではありません。日本経済は中国にも支えられています。
日本ではマスク一つ作ることができないほど生産拠点として中国に依存してしまっている現実があります。
安全保障は日米安保でアメリカに依存してます。経済はアメリカ以上に中国への依存度が高まってしまっています。
両者が喧嘩したらどうすれば良いか難問です。そうした時期にいま日本はあることを新型コロナウィルスは教えてくれてます。
相当にしたたかに、また一方で相当にしなやかに戦略と戦術を立て直していかないと日本は振り回されます。
幕末の時の危機的状況と同じだと考えるべきだと思います。日本にとって150年ぶりにやってきた試練だといえます。
正真正銘の日本の危機が到来しています。新型コロナウィルスの対応のその先にはもっと困難な状況が待っています。