混乱拡大の世界情勢と日本
世界のスーパーパワー国たるアメリカ社会が揺れてます。白人警察官による黒人への暴行でです。
アメリカ社会における闇として白人と黒人の対立は依然として残っています。特異な事件があると吹き上がります。
黒人暴動に対し警察権力を使っての抑圧は香港において自由化を求める市民を弾圧している姿とダブります。
自由と民主主義を標榜し理念面においても世界のリーダーたる存在感を示したいアメリカとしては痛手です。
アメリカと対立する習近平指導部の高官たちはアメリカだって民衆を弾圧しているとほくそ笑んでいる気がします。
他国の内政に干渉している暇があるなら自国内の暴動と向き合って他国のことに口出すなという批判が出そうです。
このほかにもアメリカの超大国としての揺らぎを示す出来事がありました。G7開催をめぐってです。
トランプ大統領は主要7か国による会議、G7をアメリカで開催し結束を誇示したい考えのようです。
ドイツのメルケル首相が異議申し立てをしていると報じられています。アメリカの言うことを聞かないのです。
新型コロナウィルスの感染が続いている状況下でアメリカで開催することに難色を示しているとのことです。
額面通りには受け取れません。トランプ大統領主導の会議開催に違和感があると見るのが常識でしょう。
意地の悪いうがった見方ですが米中対立の中でやんわりと中国の立場への理解を示しているとも受け取れます。
秋以降に延期との報道がされています。いずれにせよ開催されれば、日本の安倍総理は当然のごとく出席です。
かつてアメリカを中心とする連合国に対し日本、ドイツ、イタリアは枢軸国と言われ全面戦争しました。
アメリカの指導力に陰りが見られている中で枢軸国の日本とドイツの対応が分かれることになりました。
もうひとつの枢軸国のイタリアはどうするのでしょうか。経済面では中国との結びつきが急拡大と言われてます。
アメリカをとるのでしょうか、それとも中国への配慮を示すのでしょうか。目が離せません。
アメリカの指導力の揺らぎが深刻になることと反比例して習近平体制の中国の強大化は進むことになります。
中国共産党一党独裁体制の強権体制の強みを前面に押し出して強い指導力を演出する方向に進むと思います。
アメリカの足元が揺らいでいるのを横目にににらんだ時に中国の習近平指導部がとる道は強気の選択だと見ます。
香港問題を始め安直な妥協は考えられません。緩やかな姿勢を見せることは自らの体制の脆弱化への恐れが付きまといます。
日本にとって米中対立はいきなり厳しい局面となると見なければならないと思えてなりません。
混乱状況が拡大しあれかこれかの選択が迫られた時にどうすれば良いのかという難しい状況に直面するのです。
『君主論』でリアルな政治の要諦を述べたマキアヴェリは、賢明な君主は旗幟鮮明にすることを説きました。
私も同感です。アメリカ側の立場に基本的に立つという姿勢で一貫し迷いを消すことが当面の道だと思います。