新型コロナウィルス対応の政治学32~都知事選1~

新型コロナの感染者が再び増加する中で行われた東京都知事選挙、小池百合子都知事が圧勝しました。

366万票で2位の宇都宮健児さんに280万票の差でした。全く勝負になりませんでした。

小池都知事の背中が見えるところまで行くかと思った山本太郎さんは66万票弱でした。

私の感覚の中としては惨敗です。れいわ新選組の前途への影響は大きいと思います。

独自路線は山本さんの圧倒的な人気の上で成立する戦略です。大前提が狂いました。

日本維新の会の小野泰輔さんの善戦が光りました。61万票余りで山本さんと変わりません。

東京においても維新的政治運動が着実に定着してきていることを伺わせます。

小池都知事は大衆を喚起して得票を得るポピュリズム政治家の系譜のスターです。

元テレビキャスターの弁舌と集票力で細川護熙、小沢一郎、小泉純一郎のもとでその才を発揮しました。

敵を見定めてたたきヒロインとなって耳目を集めるやり方は小泉さんにより近い手法です。

右派のポピュリズム政治家と私は位置づけています。今回の都知事選挙でもその手法は堅持されました。

前回の都知事選挙では古い自民党の体質を標的にしました。今度は新型コロナを敵に見立てました。

横文字を駆使して華麗に舞って新型コロナと戦うたくましい女性政治家を刷り込みました。

結果を見るとこの作戦はまんまと成功し他を寄せ付けない得票を獲得しました。

一方惨敗した山本太郎さんは左派のポピュリズム政治家で小池都知事と立ち位置が好対照です。

徹底して弱者優先の政策を掲げて弱者の立場に寄り添うことで得票を得ようとしました。

惨敗という結果は政策に共感する層と投票所に足を運ぶ有権者との間に落差があったと言えます。

私は山本さんの得票は下からひっくり返す革命的機運のバロメーターだと見ていました。

首都東京においては弱者革命の機運はまだ充満していないことがはっきりしました。

小池都知事と維新の小野さんの得票を合わせると右派のポピュリズムの伸長が潮流だと思います。

都知事選挙の結果は衆議院の解散・総選挙の時期に影響を及ぼすと私は見ます。

立民らの野党の集票力は依然として低く、警戒していた山本さんのれいわ新選組は撃沈しました。

都議会の補欠選挙の方は自民党の4選4勝です。地べたにおいては自民健在です。

この流れならば解散を打てると安倍総理が思っても不思議ではありません。

秋の臨時国会冒頭での解散・総選挙の確率がじわりと高まったといえると思います。

自民と公明に加えて維新とも連立の枠組みを広げることも視野に入れての判断となります。

安倍総理が執念を燃やす憲法改正を可能にするためにはそれ以外の手はありません。

秋に解散総選挙を断行するとしてその前に大きなハードルがあります。党役員・内閣改造です。

一挙に大注目人事となりました。二階幹事長の続投がポイント中のポイントです。

二階幹事長を更迭して安倍総理に近い誰かを据える時は解散・総選挙への号砲だと思います。