新型コロナウィルス対応の政治学33~都知事選2
昨日のブログでポピュリズムの進展について書きました。もう少し詳しく見て行きます。
圧勝した後景百合子都知事流のポピュリズムは知事個人の振る舞いに重点があります。
カリスマ性と巧みな弁舌やファッションも含めて行動によって求心力を高める政治手法です。
右寄りな主義主張の持ち主です。しかしその主張を具現化することにはこだわりはありません。
私はテレビキャスター型のポピュリスム政治の代表的政治家にのし上がったと見ています。
自民党の二階俊博幹事長は小池都知事を支援するにあたり「元は自民党ではないか」と述べました。
確かに肩書は自民党だった経歴を持ちますが本質は自民党本来の伝統とは大きく異なります。
出身は細川護熙元総理が率いた日本新党の看板スターとしてテレビキャスターから舞い降りたのです。
地域に根差して地道に活動し這い上がってくるという自民党政治家のDNAは持ち合わせていません。
小池都知事という勝つ候補を支援し自らの求心力を高めるのが二階幹事長の狙いだったと思います。
目先の権力だけに目を向ければこうした選択は理にかなっているかもしれません。
しかし、もう少し広い視野から見ると二階幹事長の姿勢はしっぺ返しを食らう可能性があります。
既に最終段階で小池都知事は自民党からの支援を表向き出すことを徹底して避けました。
自民党の実質的支援が見込める段階で勝利を確信した小池都知事は脱中央政党を図りました。
中央政党の色がつかない方が自分のカリスマ性をより高めることができるとの判断だと思います。
自民党の二階幹事長の方が利用されたと見ることが可能です。したたか極まりない政治家です。
日本維新の会の小野泰輔さんが60万票を超える得票を得て善戦が光りました。
日本維新の会は小池都知事と親和性が高いように見えますが内実は相当に開きがあります。
日本維新の会の源流はかの橋下徹さんです。橋下さんは実践のためにポピュリスム手法を駆使しました。
小池さんの権力を維持するための行使とは違います。あくまでも実践のためにポピュリズムはあります。
大阪都構想の実現に徹底してこだわり大阪の有権者を喚起し続けたことを見れば一目瞭然です。
小野さんはこの橋下さんの系譜からの出馬です。どのくらいの得票が出るか予測がつきませんでした。
結果は、山本太郎さんに迫る612530票でした。6132679票のうちの9.99%でした。
もう一歩で得票率は二桁です。二桁かどうかは候補者にとって大きな分かれ道です。
10%得票できれば300万円の事前に選管に収めた供託金は戻ってきます。小野さんには戻りません。
私には天の計らいに思えました。これからの努力次第だとの天の意思です。
小野さんは東大で政治学を学び指導教官であった蒲島郁夫熊本県知事の下で副知事を務めました。
いきなり都知事選挙です。いわば落下傘です。地道な政治活動はまだこれからです。
60万票を超えた得票を得たことで満足のいくデビューとなりました。今後に期待します。