米中冷戦時代の到来と日本4~危機意識の薄さが危機を招く~
昨晩NHKのニュースウォッチ9を見ていたら米中対立のニュースを報じていました。
米中両国の総領事館閉鎖が何を意味するかを専門家が解説していました。
最後にキャスターが「経済を含めて世界に影響を及ぼす」との趣旨のコメントをしてました。
あまりに表面的で事態の本質を捉えていないまとめかとがく然としました。
米中対立の激化は生易しくありません。経済はおろか日本国の針路そのものに関わります。
基本路線としての日米同盟だけでは対処しきれいな余りの多くの問題をはらんでいます。
アメリカをとるのか中国をとるのか全てに踏み絵を踏まされるような解題です。
新型コロナウィルスへの対応並の緊張感を持って対処しませんと右往左往することになります。
そうならないためにはまずは危機感を持ち米中対立の激化をめぐる動きを直視することです。
メディアは一般の国民に大きな影響を与えます。NHKはその代表的存在です。
米中対立の持つ重大な意味を冷静にかつ正確に伝えて国民に危機意識を持つよう促す役目があります。
軽率なコメントで総括するようなことではNHKの使命を果たすことは到底できません。
今朝のニュースは米中関係新たな局面にという視点から重大な変化を伝えていました。
昨晩のニュースに比べるとその深刻さが理解できるよう若干の修正がなされていました。
それでも米中対立激化の衝撃の全体像を意識させる内容とはほど遠いものでした。
昨今の中国の動きは単純化すると香港を国際的な公約を無視して飲み込むことが最初の動きでした。
1997年の香港返還の際に交わした50年間は高度の自治を守るという約束はないがしろです。
中国は台湾との間で国家統一を図るにあたり「一国二制度」で独自性を保障するとしてます。
台湾としては、香港の状況を見て「一国二制度」の正体は明らかだと断固拒否です。
そうはいっても共産党一党独裁体制の中国本土の方が軍事力は圧倒しています。
令和2年度の防衛白書によると中国と台湾の軍事費は16倍の格差があるとされます。
外交面でも台湾を承認する国を経済力を武器に圧力をかけて15か国にまで減らしています。
台湾は自由と民主主義の政治姿勢の価値観を共有するアメリカなどとの連携を盾に対処しています。
長期的に観て台湾の断固たる姿勢が堅持できるかどうかが大きな焦点となっています。
こうした情勢下で米中の対立の激化があるのです。国の存続そのものが問われています。
この状況をにらんだ時に日本が台湾化するかどうかの岐路にあると見るのは決して大げさではありません。
中国の長期的な狙いはそこにあると見えます。尖閣諸島を自国の支配下に置いた後は沖縄です。
沖縄に直接的な影響力を行使できるようになれば日本列島は現在の台湾と同じです。
国として独立しているように見えても事実上は中国に手足を縛られていることになります。
こうした悪夢のシナリオもあり得るとして米中対立への対処を考える危機感が必要だと思います。