米中冷戦時代の到来と日本5~韓国と台湾~

韓国の平昌の民間植物園に不可思議な像が設置されました。慰安婦像とひざまずく男性です。

男性は日本の安倍総理を模しているということです。随分と刺激的な行動をとるものです。

韓国外務省は遺憾の意を表してますが韓国の一部民衆の気分を暴露したことは間違いありません。

韓国は儒教の伝統のある国です。儒教の教えのいの一番は「礼」であるはずです。

かつて植民地支配をした日本に対しては礼儀は必要ないということなのでしょうか。

この国の民衆の誇り高い自意識とその裏返しである戦闘性のほとばしりを感じます。

他国の総理を題材にここまでの作品は制作しないでしょうし、まして一般の目に触れる場所に置きません。

韓国の一部民衆の反日感情を激しさを露にしたと見るのが正しい見方だと思います。

日韓関係は冷え込んでいます。米中対立が深刻化して変化はあるかどうかが注目されます。

つい最近元外交官でキャノングローバル研究所の研究主幹の宮家邦彦さんの見解を講演で聞きました。

宮家さんは日韓関係の先行きについて明るい展望は持っていませんでした。

大きな理由は韓国と中国との関係の深まりが経済面で進展していることにあります。

ここにアメリカとの間で安全保障面での制約がかかったからと言って基調に変化はないと見ていました。

かつての日米韓による3国安保同盟というのは望めずせいぜい韓国を足止めする役割だと言ってました。

米中対立によっても日韓関係の悪化は止められないとなると日本の将来の見取り図に影響を及ぼします。

今回の安倍総理像のように感情的に激した事象が今後も散発的に発生することでしょう。

日本国民がどこまで冷静にいられるかいささか心配です。日韓関係は悪化が基調です。

一方で一貫して親日的な態度を堅持しているのが台湾です。韓国と対照的です。

1972年の日中国交正常化で日本との国と国との関係は断絶したのにも関わらず変化ありません。

日中共同宣言によりひとつの中国を認めた日本としてその建前ばかりにこだわってられません。

米中間の対立により日本は日米同盟に基軸を置く以外にほかに道はないのは自明です。

アメリカから武器の供与も受けている台湾との関係を重視するのは自然です。

政府が直接動くとなると中国政府を極端に刺激するのはこれまた自明のことです。

許容されるぎりぎりの線を歩んで台湾との関係強化はじわじわと着実に進める必要があります。

今回の新型コロナ対応のような課題について日本はもっと積極的に動いて良いのではないでしょうか。

新型コロナ対応の優等生である台湾の体制を学ぶという名目は十二分な大義名分です。

民間の調査団を組んで台湾の衛生当局と意見交換することは正当性があります。

日本はアメリカに対してもおっかなびっくりですが中国に対しても同様です。

白を黒と言い込めてしまうような中国の言論におびえていては日本の立ち位置を作れません。

台湾との間でどこまで非政府間の関係強化を図れるか米中対立時代の日本の課題です。