総合治水への転換のカギは市町村

昨日のブログで菅官房長官の発言を紹介しました。河川の管理のあり方の根本的な見直しが迫ってます。

河川は国が管理する一級河川水系と県が管理する二級河川水系に分かれます。

菅官房長官は県管理の二級河川の治水に弱点があるのではないかという観点から指摘しました。

ただこのところ県管理の二級河川に比べ整備水準が高い一級河川の決壊が目立ってます。

昨年の長野県を流れる千曲川もそうでした。そもそも熊本県の球磨川も一級河川です。

一級、二級に関わらず治水にあり方を根本から見直す時期に来ていることの証です。

治山治水という言葉があります。治水を考えることは治山を考えることと一体です。

山を守れて初めて川を収めることができるということが原点だということです。

この原点に立ち返って日本の治水対策を再検討する必要があるということにほかなりません。

関係各機関がワンチームとなって総合的に対応しなければこの見直しは徹底しません。

治水の見直しには直接治水を担当する国土交通省だけでなく農林水産省も大いに関係します。

それに加えて国と地方自治体との共同戦線を張らなければなりませんので当然総務省もかみます。

地方側に目を向ければ都道府県だけでなく市町村も積極的関与が不可欠だと思います。

県管理の河川の治水に対し市町村側から積極的に関わってきたとは言えないと思います。

一級河川ならば国、二級河川ならば都道府県、それぞれにお任せが実態だったと思います。

この市町村のスタンスの修正が絶対に必要です。法人も含めて住民と直接の接点は市町村だからです。

治水対策の強化の行き着く先は住民の安全確保であることは言うまでもありません。

住民の安全を確保するためには住民自らの治水への関心を高める必要があります。

市町村の役割は総合的な治水においては基礎をなすと言って良いと思います。

国、都道府県、市町村、法人も含めての住民が一体となった治水体制が求められます。

関係者が多くなると責任が明確にならずに船頭多くしての混乱に陥りがちです。

一級河川は国、二級河川は都道府県が主導権をとって新たな体制づくりに臨むのが基本です。

その上で住民と接点を持つ市町村は国や県に対しより積極的に治水に対し関わっていくべきです。

全国の都道府県で地域に合った形で新たな治水体制の確立を目指し、いい意味での競争を望みます。

私は市町村の側から治水に対し積極的に逆提案することそれ自体がモデル性を持っていると思います。

これまで治水に対しては、治水の権限を委譲されている巨大都市を除き積極的でなかったはずです。

それが流域の市町村がひとつにまとまって対応するだけでも大きな変革です。

これまでは川の流れはひとつなのに市町村ごとに区切られて意識されてきました。

勝手にぶつ切りにしたうえで自分の守備範囲のことだけを考えてきたのです。

ここを改め市町村の側から逆提案していくことが新たな総合治水を考えるカギだと思います。

 

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