新型コロナウィルス対応の政治学39~政治家の一言~

安倍総理の健康がすぐれないのではないかとの懸念に対し政治家の発言が相次いでいます。

国民民主党の玉木代表の一言に注目しました。惻隠の情を垣間見させるに十分でした。

「検査だと聞いている。体調が悪いのであれば、静養して一日も早い回復を祈念する。」

国会ではお互い丁々発止やり取りする相手方の大将への気遣いが感じ取れます。

共産党の小池書記局長の発言と比べてみれば玉木代表の発言の温かみが理解できます。

「記者会見もほとんどやっていないし国会も開いていない。十分に休まれているのではないか。」

「心配する状況でないことを願っている。」全く言い回しが異なっています。

私は玉木代表はいずれかの日、日本を率いるリーダーになる素質を秘めていると確信しました。

一方共産党は政権の座に就く日を想像したくてもあまりに遠すぎて視野に入らない感じを持ちました。

政治的にどのような対立状況にあろうとも身体の苦境に陥っている時には思いやりが欲しいです。

武士道というかサムライスピリットです。これがないと日本人の心には響きません。

麻生副総理の一言が気にかかりました。総理には休養をとるように申し上げているというのです。

この発言には前段があって麻生副総理はその内容をあえて避けているように感じてなりません。

前段とは「安倍総理からは体調について相談を受けていて」という内容だと想像されます。

もっと想像をたくましくすれば「私が総理を務められない状況になったならば」ということです。

安倍総理はすでに麻生副総理との間で自身の健康についてやり取りしているのではないでしょうか。

総理と副総理の関係は、アメリカで言えば大統領と副大統領の関係です。

アメリカでは大統領に万一の事態があれば副大統領が大統領職に就くことがはっきりしてます。

日本はそうではなく暗黙の了解みたいなもので明文化されたものではありません。

安倍総理として麻生副総理に念を押したとしても不思議ではないと思います。

これに対し麻生副総理はそ体調を万全することが先決だと助言したのではないでしょうか。

安倍総理は今日の午後から公務に復帰する予定です。果たして予定通りことが進むのか注目です。

仮に当面は予定通り公務をこなしたとしても9月の党役員人事、内閣改造も予想されます。

新型コロナウィルスの対応はもちろんのこと秋の臨時国会が控えています。

この激務を難なくこなせるのかどうか疑問符がつくと言わざるを得ないと思います。

安倍総理は第一次安倍内閣の時に2007年8月体調不良で政権の座を放した苦い経験があります。

リベンジしたいとの強い執念で2012年暮れの総選挙で大勝し政権の座に復帰したに違いありません。

政権維持にこだわりを持つのは当然ではありますが体調には勝てません。

私は、安倍総理が麻生副総理に総理の座を譲ることは大いにあり得ると見ます。

政治記者たちは安倍総理の一言一言に全神経を集中させ片時も気を抜けないと思います。