土砂崩れを防ぐ!

2014年8月19日から20日にかけ中国地方で記録的集中豪雨が発生しました。

広島市安佐北区、安佐南区で大規模な土砂崩れが発生し74人が亡くなる大災害となりました。

私は町長時代、土砂崩れの現場を見上げることができるところまで行ったことがあります。

治水の遺跡の調査のためでした。広島市内の旧佐東町のその遺跡はありました。

「大禹謨」と彫られた石碑で太田川の上流部のほとりに建てられていました。

幾度も大きな水害に襲われた地域で1972年に新たな堰が完成したのを祈念して建てました。

中国の黄河の治水に功績があったとされる伝説の皇帝禹(う)を祀ったのでした。

河川の上流部分には住宅地が広がってました。率直に言って見るからに危なそうでした。

急斜面にへばりつくように住宅開発してしまって良いのだろうかと不安に思いました。

中国山地は真砂土と呼ばれ地盤が脆弱であることも後に知りました。

大規模な土砂崩れが発生した時には、やはりという気持ちは禁じえませんでした。

土砂崩れの危険性の高い地域に住んでいるという危機意識はどの程度だったのでしょうか。

私の住む神奈川県にも土砂崩れの危険性が高い地域があります。三浦半島地域です。

18日付の神奈川新聞の一面に土砂崩れの関連記事が掲載されていました。

今年7月の雨で61件の土砂災害が発生し横須賀、逗子、三浦の3市でおよそ8割だというのです。

今年2月5日には逗子市で女子高生が崩れてきた土砂に巻き込まれて死亡しました。

2012年9月24日横須賀市内を走る京浜急行線が崩れた土砂に突っ込む事故がありました。

11人が重軽傷を負いました。前日の深夜時間雨量100ミリ集中豪雨が発生していました。

頻発する土砂崩れを防ぐ手段はないのでしょうか。格好の技術があります。

「フォレストベンチ」と呼ばれる工法で斜面を段々畑のように樹木で覆うやり方です。

切り崩した土砂はネットで崩落を防ぎ、そのネットはアンカーで止めて強度を保ちます。

ネットの周りを木材で覆うこともできますので金属のネットを目立たなくすることもできます。

自然にかなったやり方で安全が守れるならば願ったりかなったりだと思います。

しかしコンクリートで斜面を固めるのが主流でこの工法は広がっていません。

町長時代、真鶴町でこの工法で斜面の崩落防止をしている場所があると聞き調査に行きました。

段々にして樹木を植え自然の山のような景観を保てるところが優れていると思いました。

フォレストベンチ工法を提唱し研究会を主宰しているのは元道路公団の技術者です。

昨日、久しぶりに研究会のホームページを見たら研究会解散と掲載されていました。

びっくりしてご本人に電話を入れたところ体調不良もあってと言葉を濁していました。

私がこの技術はこれから光を当てなければならないのにと激励しました。

優れた技術がこのまま衰退してしまうのは余りに惜しいです。何とか広めていきたいものです。