日中国交正常化再考1

右翼活動家に長谷川光良さんという方がいて月に一度ミニコミ紙が送られてきます。

理論派右翼として名が通った方です。展開されている主張は読み応えあります。

冒頭に昭和42(1967)年高校2年生の時より右翼活動に関わりを持ったと書いてます。

筋金入りです。まくし立てるのではなくきちんと歴史的背景を吟味しています。

毎月、6回程度、新橋や有楽町、川崎駅前で街頭演説を続けています。

大日本愛国党の党首で右翼の大物だった赤尾敏さんの辻説法活動をほうふつとさせます。

右翼ですので反共です。中国共産党に対し厳しい姿勢の論調は一貫しています。

台湾について過去の歴史を正確に踏まえ中国に対抗する拠点として位置づけています。

台湾の政治指導者たちとのつながりも深く政治情勢について教えられるところ大です。

中国と台湾は全く異なった歴史を持っているというのが主張の最大根拠です。

中国共産党が台湾を不可分の国土の一部だとしていることに激しく反発しています。

台湾は、1895年に日本の植民地となり1945年に日本は戦争に敗れました。

戦後、台湾を軍事占領したのは中国共産党ではなく蒋介石率いる国民党でした。

国民党は中国共産党との内戦に敗れ台湾に逃れいわば亡命政権の中華民国を樹立しました。

台湾の処遇を最終的に決したのは日本が国際社会に復帰したサンフランシスコ講和条約です。

1952年発効です。日本は正式に台湾を放棄しました。中華民国は条約に参加してません。

よって台湾の国際的地位は未定なままであって中国共産党の主張は根拠がないとしています。

国際条約による取り決めを踏まえての議論なので説得力あります。傾聴に値します。

日本は1972年に中国共産党の支配する中華人民共和国と国交正常化しました。

日中共同宣言で中国政府の立場を「十分理解し尊重する」と明記されました。

台湾は中国領土の不可分の一部だという主張を認めたかのような表現になっています。

ただし「理解し尊重する」という表現は、国際法的には拘束力はないということです。

しかし、主張を絶対に曲げない中国共産党です。自分に都合よく解釈し続けるでしょう。

米中対立が激しくなればなるほど日本外交にとって台湾の比重は増大します。

アメリカの台湾重視は一層鮮明になることは明らかで日本は選択を迫られるからです。

安全保障面で同盟関係にあるアメリカの意向に反する行動は現実的に不可能です。

アメリカと一心同体で中国と全面対立となれば経済的打撃が計り知れません。

重大なジレンマです。日本の正念場が刻一刻と迫っていると認識すべきです。

私は、台湾については1972年の日中国交正常化の議論を問い直す必要があると思います。

その際には、長谷川さんが主張している原理原則も視野に入れながら検討すべきです。

アメリカとの関係強化を最優先とする台湾の姿勢は、日本の安全保障にとって決定的です。

日本は、台湾は中国領土の一部との中国の主張におびえているかに見えます。再検討が必要です。