日中国交正常化再考2

右翼活動家の長谷川光良さんとどうしても意見が合わないところがあります。

日中戦争、太平洋戦争の見方です。長谷川さんは自衛のための戦争と断じ、大東亜戦争と呼びます。

この戦争の捉え方と呼び名に戦争を正当化する心理が潜んでいます。

まずは自衛です。古今東西、侵略すると宣言して戦争を起こすことはありません。

相手を悪者にして自らを正当化します。最初の正当化が自衛です。国を守る戦争だというのです。

日本を守るには朝鮮半島を支配下に置かなければならない。それでも十分ではない。

満洲に傀儡国家を創設しよう。そしてついに1937年に中国との戦争になりましt。

しかし、自衛だけでは他国を納得させるには今ひとつです。大義が不可欠です。

「大東亜」という概念が持ち出されました。この概念はあいまいです。まず地域を明確化できません。

「東亜」が東アジアとすると「大東亜」は、いわゆるアジアとしか言いようがありません。

戦前の日本はアジアを欧米の植民地主義から解放し共存共栄の地域を創ると表明していました。

「大東亜共栄圏」です。そのための戦争をしているのだというのが戦争の大義でした。

この説明には決定的な矛盾があります。アジアを解放するとしながら中国と戦争したのです。

結論から言うと自衛のための戦争も「大東亜共栄圏」も自分勝手な論理だということです。

戦争の推移を客観的に説明している書物を紐解けばすぐに理解できることです。

自衛のためと称して戦線をどんどん拡大し泥沼に入ったことは子供でもわかります。

「大東亜共栄圏」の夢は、幻に終わってしまったことも全く同様です。

政治的イデオロギーに捕らわれずに事実を直視することが必要だと思います。

中国大陸に侵略したという事実をあれこれ理屈をこね正当化すしたところで説得を持ちません。

侵略戦争だったという事実を認めてその上で現代の中国に対処することが求められる態度です。

自らの過去を反省しているからこそ現代の中国の覇権主義的態度を批判できるのです。

自らの過去を無理やり正当化していて中国を覇権主義的だと批判しても足元を見られます。

かつて日本は誤った選択をした。いま中国はかつての日本ような覇権的な道を歩もうとしている。

このような態度で中国の姿勢に注文を付ければこれは説得力あると見なされるでしょう。

こうした論理に立って中国に立ち向かおうとしている日本の政治勢力はありません。

日本共産党は中国の覇権主義を批判していますが過去の日本の侵略戦争と関連付けてはいません。

自民党内の反中国派の考え方は侵略戦争否定派が大勢を占めているように見えます。

日中戦争の侵略性をきちんと認識しその立場から現代の中国批判を展開する政治勢力が求められます。

保守タカ派勢力だけでは反中一辺倒の十年一日のような主張に終わってしまいます。

リベラル勢力は、親中でなければならないという呪縛を解いで欲しいです。

リベラルであっても中国に対し物申すことができる政治勢力が必要です。

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