新型コロナウィルス対応の政治学40~安倍総理の辞意表明~
安倍総理が辞意表明という速報を見て不思議なほど意外感はありませんでした。
「あ~やはり」という感慨を持ちました。それほど昨今の安倍総理の表情は精彩を欠いてました。
ブログでも書いたことがありますが表情がすぐれず痛々しい感じさえしました。
違和感を感じたのは4月ごろからでしょうか。国会の答弁も冴えませんでした。
そのうち顔色が悪いだけでなく顔がぼこぼことかすかに歪んでいるように見えました。
昨日の会見では6月から再発の兆しといわれてましたがもっと早くから異変がという感じです。
安倍総理の体調をここまで追い込んだ決定的な原因は新型コロナウィルス対応のストレスでしょう。
新型コロナが間接的に安倍総理の身体を蝕み遂に辞任を決断させたと思わざるを得ません。
厄介なウィルスです。直接感染していなくとも基礎疾患があるとやれれてしまう時があるのです。
日本では、7年8ケ月は、超長期の連続政権です。第一次と合わせると8年8か月です。
病気で任期を全うできないというのはトップに立つものとしてこれ以上の痛恨事はありません。
しかも第一次安倍政権に続いてまたもですのでこたえます。それほど体調が悪いということでしょう。
第二次安倍政権の最大の特色は何かと問われれば私は超長期超安定政権だと思います。
与党が国会で絶対的な安定多数を占める強力政権であったことそれ自体が特筆に値します。
後々の政治史の教科書は、政策ではなくこの事実をまず記載するのではないでしょうか。
超長期の超安定という特色があったので異次元の金融緩和や消費税率のアップもできました。
ころころ変わっていた日本の総理大臣がでんと控えることができ国際関係で存在感を持ちました。
なぜ超長期の超安定政権をもたらしたのかを考察しなければなりません。
国内的要因と国際的要因のふたつがあります。国内的要因はい合わずもがなです。
安倍総理の再登板が実現する前の3年余りの民主党政権の余りのお粗末さです。
二度とあのような未熟な政権に国を任せたくないという強い嫌悪感が国民の共通意識でした。
この意識は現在でも続いています。安倍政権は圧倒的に選挙に強い政権となりました。
対抗する相手がいないに等しいので一人無人の荒野を行くみたいなものでした。
国際的要因はアメリカとの関係を重視し、自らの歴史観を封印したことです。
安倍総理は歴史修正主義者の立場です。日中戦争や太平洋戦争は自衛のためだという認識です。
これを全面的に押し出すとアメリカとの間で隙間風が生じます。実際に日米関係は微妙でした。
安倍総理は政権安定のために国粋主義的主張を前面に出すことを止めました。
このためアメリカとの関係が安定し日米同盟という言葉が実質的に意味を成すようになりました。
弱体な野党しかない日本の政治状況と日米関係の安定で安倍政権は軌道に乗りました。
ポスト安倍政権はこの構造を重視すべきです。政権基盤の強化に直結する要因だからです。