新型コロナウィルス対応の政治学42~自民総裁選挙~

日本は議会制民主主義の国です。議会の多数派すなわち自民党のトップが総理大臣に指名されます。

自民党総裁選挙は、一党派のトップを選ぶのではなく日本国のトップを選ぶ選挙です。

国民が大きな関心を持たなければならい最大の理由はここにあります。

今回は、安倍総理大臣の任期途中での辞任を受けての総裁選挙で異例な形で行われます。

一般党員の投票は行われず衆参国会議員と各都道府県連の代表者3人で選ばれるということです。

国会議員票が394票で県連票が141票の合計535票で争われるということです。

昨日のブログで書いたように菅官房長官が断トツに有利な戦いを進めると思います。

私の予測を超えて早くも二階幹事長の派閥の二階派は支持を固めたと報じられてます。

一気に流れを作る戦術だと思います。最大派閥の細田派もいずれ同調するでしょう。

人事がチラつき乗り遅れたくない派閥は次々と菅官房長官支持を打ち出してくるはずです。

そこで世論調査で国民的期待度は一番の石破元幹事長の動向が注目されます。

一般党員投票の実施にこだわっています。国会議員票では太刀打ちできないからです。

しかし党員投票を実施するという正論が受け入れられる余地はありません。

石破さんが負けるから出馬しないということになれば政治生命は危ういと見ます。

出馬して国会議員票を一票でも増やす、県連票は他を圧するぐらいの気迫を期待したいです。

短くとも総裁選挙期間はあります。国民に向けて訴える機会を最大限活用すべきではないでしょうか。

日本人は判官びいきです。排除された石破さんに同情が集まる可能性はあります。

そのためには理屈をこねないで身を捨てて挑戦する気迫が絶対条件です。

石破さんには細川政権で自民党が野党に転落した時代に自民党を離党したという過去があります。

この過去の傷を癒すためにはもっと血を流さないと自民党員は納得しないと思います。

今回の総裁選挙は負けることで一気に血を流してみそぎをする格好のチャンスです。

また政策においても安倍政権との違いを大胆不敵に訴える絶好の機会でもあります。

安倍政権の路線は新型コロナウィルス対応で経済優先にかじを切ろうとしていました。

菅政権になってもこの路線は継承されます。石破さんならば独自策の打ち出しが可能です。

PCR検査の拡充を保障するための医療機関や地方自治体への思い切った財政支援などです。

得意とする安全保障、防衛問題における最大の懸案、対中関係は石破さんの得意分野です。

菅政権は親中派の二階幹事長が生みの親となりますので対中政策は温和とならざるを得ません。

石破さんが独自の対中国政策、特に香港や台湾問題について違いを強調することは可能です。

安倍総理の意向や二階幹事長ら主流派の派閥の論理だけで総裁を選んでしまってはいけません。

総理大臣を決める選挙なのですから正々堂々と国民の前に論争する機会が必須です。

現代日本が置かれている危機とその処方せんを選挙戦を通じて明らかにして欲しいです。