新型コロナウィルス対応の政治学45~石破元幹事長の起死回生の一手は~

3度目の正直という言葉があります。意志を貫けば必ず実現するとのエールです。

一方で2度あることは3度あるという言い方もあります。厳しい現実に突き放される感じです。

自民党総裁選挙に出馬する石破茂元幹事長は3度目の挑戦です。情勢は後者の方です。

どうみても今度の総裁選挙で勝てません。来年9月の総裁選挙をにらんでの勝負となります。

石破元幹事長は国会議員票は期待できません。仲間が19人しかいません。

自民党内の派閥一覧を眺めると石破元幹事長だけが孤立無援に見えてしまいます。

派閥を率いる以上、この情勢を多少は修正しない限りは総理・総裁への道は険しいです。

せめて30人、できれば50人、同志がいないと派閥の長として戦うのは困難が伴います。

1993年夏、自民党が下野した後、党を離れ小沢一郎さんと行動を共にした過去があります。

私は石破さんにはこの傷がとても深いと思います。一番苦しい時に飛び出したのですから。

自民党の国会議員の中にこの過去の行動の記憶はよどみのように残っていると見ます。

よどみを浄化させて水に流してもらうためには半端ではない努力が必要です。

石破元幹事長は国会議員の中に支持を広げるより一般の党員からの支持を集める戦略です。

本丸よりも周辺の土壌を変えることにより本丸の意識を変えてもらいたいという狙いに見えます。

しかし、今回の総裁選挙は、この戦略が限界にぶち当たっていることを示しそうです。

朝日新聞の調査では70%が安倍政治を評価しました。この高い支持が立ちはだかります。

石破元幹事長は安倍政治と距離を置くことを基本としてきたからです。

安倍政治評価の流れは地方の一般党員にも当然のことながら浸透しているはずです。

結果として石破元幹事長は思うように地方の県連票がとれないと見ます。

国会議員票は微少で地方票も思うに任せないとなると惨敗するとの悪夢が現実化します。

この苦境を脱するのに石破元幹事長はどう活路を見い出せばよいか考えてみます。

政策はというとすでに発表された内容は特にインパクトのあるものではありません。

東京一極集中の是正は、3氏とも訴えますので独自政策ではありません。

それに東京一極集中の是正は、手段であって目的ではありません。国家構想が先です。

防災省の設置と言ってもすぐにできるわけではないので即効性に乏しいです。

石破元幹事長は、得意分野の安保・防衛問題を前面に打ち出すべきだったのではないでしょうか。

特に中国の南シナ海進出や尖閣諸島周辺での活動の活発化に対する対応です。

安保・防衛問題の専門家として対中政策の転換を掲げ次なる日本のリーダーの見解を競うべきです。

米中対立が激化を捉えて対中政策の転換を主張しなかったのは判断の誤りだと思います。

石破元幹事長が安保・防衛の観点から香港や台湾問題に言及したら党内に大きな波紋を呼びます。

石破元幹事長は、孤高の状況に追い込まれている今こそ開き直って行動すべきだと思います。